1997 Fiscal Year Annual Research Report
先天性有機酸血症における新しい診断システムに関する研究
Project/Area Number |
07670922
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Research Institution | Kurume University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (20182751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒牧 修一 久留米大学, 医学部, 講師 (30211014)
猪口 隆洋 久留米大学, 医学部, 講師 (00191891)
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Keywords | 先天性有機酸血症 / 確認用診断システム |
Research Abstract |
前年度に引き続き、先天性有機酸血症の疑いのある患者尿を、すでに確立した分析システムで分析した。その結果、国外よりの依頼検体を含む尿サンプルより、チロジン血症や先天性胆汁酸代謝異常症、2ケトアジピン酸尿症を含む疾患を診断し、さらには軽度のメチルマロン酸の増加を示した症例の確認などに本診断システムを応用することができた。また、我々は尿中有機酸の前処理に、尿中の尿素をウレアーゼ酵素で処理し、その後尿を直接、乾固,誘導体化する方法や、従来最もよく用いられている有機溶媒抽出法、さらには珪酸カラム液体分配クロマトグラフィーなどと本診断システムを組み合わせて、どの方法が最も優れた診断システムであるかの検討を行った。その結果、最初の予想どおり、珪酸カラム液体分配クロマトグラフィーと本診断システムの組み合わせが、現時点で最も優れた有機酸血症の診断手段であると考えられた。その後、本診断システムを用いてホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症のビオチンヘの反応性の効果、HHH症候群での食事療法と尿中代謝産物との関係などについて現在さらに検討中である。また3-ヒドロキシプロピオン酸が持続的に尿中に排池されているが、メチルクエン酸の排泄状態が有機溶媒抽出では確認できない症例の場合、メチルクエン酸が真に尿中に増加しているかどうかの確認は、診断上決定的に重要であるが、この場合にも珪酸カラム液体分配クロマトグラフィー法と本診断システムを役立てることができ、今後判断に苦慮する場合の大きな情報源になるものと考えられる。 先天性有機酸血症のGC/MSによる化学診断では、豊富な経験が要求されるが、本診断システムはこれらのマニュアル診断での見落しを防止することができ、また時間の短縮化にも有用であると考えられた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 吉田一郎: "カルニチン-有機酸血症治療薬-" 小児科診療. 60・11. 1918-1919 (1997)
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[Publications] 青木久美子: "皮膚所見に乏しい遅発型ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の一例" 日本先天代謝異常学会雑誌. 13・3. 472 (1997)
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[Publications] 吉田一郎: "有機酸 分枝有機酸尿症" 別冊 日本臨牀 先天代謝異常症候群. 上. 280-309 (1998)
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[Publications] 吉田一郎: "有機酸 分枝有機酸尿症" 別冊 日本臨牀 先天代謝異常症候群. 上. 314-322 (1998)
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[Publications] 吉田一郎: "有機酸 分枝有機酸尿症" 別冊 日本臨牀 先天代謝異常症候群. 上. 325-327 (1998)
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[Publications] 吉田一郎: "有機酸 グリセロール代謝異常" 別冊 日本臨牀 先天代謝異常症候群. 上. 376-383 (1998)
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[Publications] Yasutoshi Koga: "Maple syrup urine discase:Nutritional management by intravenous hyperalimentation and uneventful course after surgical repair of dislocation of the hip." Journal of Inherited Metabolic Disease. (in press). (1998)
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[Publications] 吉田一郎: "「今日の小児治療指針 11版」その他の有機酸血症" 矢田純一,柳沢正義、山口規容子, 1 (1997)
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[Publications] 吉田一郎: "「小児科学」脂肪酸代謝異常症" 白木和夫,前川喜平, 4 (1997)