1997 Fiscal Year Annual Research Report
走査電子顕微鏡とX線元素分析装置を用いたヒト角化細胞における角化メカニズムの研究
Project/Area Number |
07670936
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
平本 哲夫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10273054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 敦 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30225693)
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Keywords | 走査型電子顕微鏡 / X線元素分析 / イオウ / 角化細胞 / 尋常性魚鱗癬 / 掌蹠角化症(Unna-Thost型) / デスモゾーム / ジストロフィン |
Research Abstract |
正常ヒト表皮、尋常性魚鱗癬、掌蹠角化症(Unna-Thost型)の表皮を凍結切片にして、走査型電子顕微鏡に設置してあるX線元素分析装置を用いて、イオウの元素分析を行った。定量化が困難であったため、イオウのカウントを点状密度の変化として観察した。正常ヒト表皮では基底層よりも有棘層の方が密度が濃く、さらに、有棘層よりも顆粒層の方がわずかに密度が濃かった。尋常性魚鱗癬の表皮では正常ヒト表皮と同様の変化を示した。しかし、掌蹠角化症の場合は基底層よりも有棘層、顆粒層、透明層、角質層の方が密度が濃く、有棘層、顆粒層、透明層、角質層の間には、はっきりした差は認められなかった。正常ヒト表皮、尋常性魚鱗癬の角質層に比べ、掌蹠角化症の角質層の方が密度が濃かつた。 免疫蛍光抗体法を用いて、基底細胞癌、有棘細胞癌におけるジストロフィンの局在を観察した。基底細胞癌では辺縁の細胞よりも中央部の細胞の方がより強く染色された。また、有棘細胞癌では角化傾向の強い部分がより強く染色された。正常ヒト表皮においてジストロフィンはデスモゾームに局在し、分化するほど角化細胞は多くのデスモゾームを有する。したがって、基底細胞癌では辺縁の細胞よりも中央部の細胞の方が分化しているものと思われた。また、有棘細胞癌の角化もデスモゾームの局在という点では、角化細胞の分化を示しているものと考えられた。
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