1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胎児皮膚を用いたExfoliative toxinの表皮剥脱機序の解明
Project/Area Number |
07670949
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒田 次郎 岡山大学, 医学部, 教授 (70033082)
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Keywords | 陰性荷電 / 鉄コロイド / 表皮 / 毛乳頭 / 硫酸基 / プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
〈材料と方法〉 I 胎生13〜18日(E13〜E18)、生後2日(N2)、生後6ケ月(N6m)のマウスの皮膚を用い、以下のa〜dの前処置後、鉄コロイド染色を行い、陰性荷電(NC)部位を観察した。a.前処置なしb.37℃、及び60℃にてメチレーションc.ヒアルロニダーゼd.ヘパリチナーゼ・コンドロイチナーゼABC・ケラタナーゼそれぞれ単独、及び3剤併用。 II E15、18、N2マウス表皮の陰性荷電(NC)の分布を、鉄コロイド染色により、電子顕微鏡にて観察した。 〈結果〉 Ia 表皮内NC部位の移動については既に発表したとおりである。(Eur J Dermatol1996;6:191〜195)さらに、E16〜18、N2の毛乳頭にて、主に細胞間に強いNCを認めた。しかし、この毛乳頭のNCは、N6mでは非常に減弱していた。 b 37℃でのメチレーションでは、表皮NCの軽度の減弱であったが、60℃では、表皮及び毛乳頭NCの高度の減弱を認めた。 c ヒアルロニダーゼ処理後のNCは、表皮内では著変認めず。毛乳頭では中等度の減弱を認めた。 d 各酵素単独処理では、各部位のNCに著変を認めず。しかし、3剤併用にて、毛乳頭のNCに著明な減少を認めた。 II 各日齢マウス表皮、いずれの層の細胞についても、細胞内外に、瀰漫性、一部やや集簇性に鉄コロイド粒子の沈着を認めたが、特異的に強いNC部位は検出されなかった。 〈考察〉 実験Ib、cより、毛乳頭のNCは、ヒアルロン酸を有し、硫酸基をもつグリコサミノグリカンを含むプロテオグリカン(PG)をその主因の1つと考えた。さらに、実験Idより、硫酸基を有する複数のPGが、毛乳頭部NCに関与していることが示唆された。 電顕での観察では、設定pHが高かったため、核酸にも鉄コロイドが沈着し、核、リボゾーム等も瀰漫性に染色されたと思われる。現在、pHを下げて、再観察中である。
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