1995 Fiscal Year Annual Research Report
汎発性強皮症におけるアポトーシスの免疫組織化学的・分子生物学的研究
Project/Area Number |
07670961
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
山蔭 明生 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (50106944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 俊 獨協医科大学, 医学部, 助手 (90265299)
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Keywords | アポトーシス / p53 / Fas / 分子生物学 |
Research Abstract |
(1)抗p53抗体・抗Fas抗体・抗Bcl-2抗体を用いた免疫組織化学法により汎発性強皮症患者の一部に皮膚の表皮基底細胞及び有棘細胞核に陽性を示した。(2)強皮症患者皮膚の電顕像で、表皮基底細胞に核の凝縮を認める症例があった。(3)断片化DNAの末端を標識することにより、組織内で数%しか存在しないアポトーシス細胞を特異的に検出する方法であるTerminal deoxynucleotidyl transferase (TdT) -mediated dUTP-biotin nick end labeling (TUNEL)法により、強皮症患者皮膚について検討した。その結果、4例の重症型と考えられるdiffuse typeの強皮症患者のうち2例で、表皮基底細胞及び有棘細胞核に陽性蛍光を認め、真皮の血管内皮細胞核および浸潤リンパ球・線維芽細胞核にも特異蛍光を発するのを観察し得た。(4)強皮症患者末梢血リンパ球細胞表面のFas抗原発現の程度を検討するために、抗Fas抗体を用いたFlow cytometryを施行した。健常対照10例では、Fas陽性リンパ球の比率は19.5±11.4%であったのに対し、強皮症患者33例では、54.3±18.9%と推計学的に有意に高い値を示した。しかし、diffuse typeとlimitted typeとの間には差が認められなかった。(5) ELISA法により血中可溶性Fas抗原を測定したところ、汎発性強皮症患者群において健常群に比して有意に血中可溶性Fas抗原濃度が高かった。 以上、平成7年度までの研究の結果、汎発性強皮症の一部の重症例において表皮細胞・血管内皮細胞・線維芽細胞・リンパ球などにアポトーシスが生じていることは立証し得た。その意味で当初の研究目的は既に達成されたと言える。しかし、様々なアポトーシスの検出方法のうち、免疫組織化学・電子顕微鏡・TUNEL法・フローサイトメトリーによる検討は順調に進展しほぼ終了したが、Nothern blot法やin situ hybridization法による分子生物学的検討およびimmunoprecipitation法、レセプターアッセイ法によるアポートシスの検索、さらには強皮症以外の線維化を来す疾患においてアポトーシスの果たす役割についての検討は平成8年度に引き続き継続して実施しなければならない課題として残された。 また、アポトーシスの研究は日進月歩であり、次々と新しいアポトーシスのマーカーが発見・研究されて来ているので、これらについても順次解明していかなければならない。
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