1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670975
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
森 理 久留米大学, 医学部, 助教授 (10175630)
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Keywords | Haircycle / Apoptosis / Catagen / TGF β |
Research Abstract |
前年度の研究結果で、catagen期における毛嚢の退縮は、可変部においてアポトーシスが起こるためと判明した。Terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick end labelling (TUNEL)法を用いて毛嚢の細胞にもDNA fragmentationが起こっていることを証明できた。これは、従来の光顕、電顕などの形態的変化に基づいた観察に、現在のアポトーシスの基本的概念であるDNA fragmentationの存在を組織学的にも証明したことになる。しかし、最近、TUNEL法ではネクローシスでも陽性になることがあること、また、形態的に明らかにアポトーシスであるのに陽性にならないことがあること、逆に、明らかに形態的にアポトーシスでないのに陽性になることがあるなどの欠点が指摘されている。従って、アポトーシスの決定的な証明は、DNA fragmentationが出現するためにみられるDNA ladderを確認することである。そこで、我々はTUNEL法を施行したマウス背部より毛嚢を採取し、クロロフォルム、フェノール法にてDNAを抽出し電気泳動を施行した。その結果、TUNEL法の所見と一致した結果を得た。即ち、生後15日目にTUNEL法にて数個の陽性細胞がみられるさいは、かすかなDNA ladderがみられ、TUNEL法で明らかな陽性所見がみられる生後16、17日目では明瞭なDNA ladderが得られた。従って、catagen期の毛嚢の退縮はアポトーシスそのものであることが証明できた。 次に、生後4日目のマウス毛嚢の上皮系細胞を単層培養し、TGF βを添加しTULEL法にてその陽性細胞数を算定した。その結果、TGF βを添加し群では陽性細胞数が有意に(p<0.001)増加した。従って、TGF βはアポトーシスの惹起に関与していることが示唆された。
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