1995 Fiscal Year Annual Research Report
トポイソメラーゼ阻害剤による放射線効果増強に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07670996
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹井 啓資 京都大学, 医学研究科, 講師 (20225858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正治 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00026931)
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Keywords | CPT-11 / SN-38 / Camptothecin / トポイソメラーゼI阻害剤 / 放射線増感 / 微小核形成試験 |
Research Abstract |
トポイソメラーゼI阻害作用を有する制癌剤CPT-11およびその活性代謝産物であるSN-38を用いて,放射線との併用効果をin vivoおよびin vitro検定した. まず,in vitroの実験としてCHO-k1,EMT6およびSCC VII細胞を用いてコロニー形成法にて薬剤単独および放射線との併用効果を検討した.いずれの細胞についてもプラトー期に対する薬剤の単独効果は僅かであった.対数増殖期ではSN-38単独で著明な効果が認められた.放射線との併用では,プラトー期の細胞に対しては相加効果しか認められなかった.対数増殖期のCHO-k1細胞に対しては相加効果以上の効果が認められた.しかし,50nM以上の濃度では増感効果は濃度に無関係であった.照射30分前,および照射中に薬剤に暴露した場合より,それに加え照射後さらに3時間薬剤に暴露した場合の方が増感効果が高かった.EMT6細胞については対数増殖期の細胞に対しては放射線と相加効果以上の効果が認められたが,その程度は,CHO-k1細胞より低かった.SCCVII細胞については相加効果しか認められなかった. 微小核形成試験を用いて染色体レベルの効果についてCHO-K1細胞を用いて検討しSN-38と放射線の併用効果は相加効果以上が認められた. マウス移植EMT6腫瘍を用い,in vivo-in vitroコロニー形成試験を行いて放射線とCPT11の併用効果を求めた.しかし,6Gyを24時間毎に3回照射し,照射前1時間に40mg/kgのCPT11静脈内投与では相加効果以下の効果しか得られなかった. 結論1)SN-38による放射線増感効果は対数増殖期の細胞に強く認められた.2)同程度の薬剤単独の殺細胞効果が認められる細胞系でも放射線との併用効果ではその程度が細胞の種類により異なった.3)併用効果が認められる最低濃度は薬剤単独の殺細胞効果よりも低濃度であった.4)In vivoに関しては腫瘍系を替えて検討する必要がある.
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