1996 Fiscal Year Annual Research Report
放射線肺炎の発症における活性酸素の意義とその防御に関する研究
Project/Area Number |
07671000
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Research Institution | Kobe Univ.School of Med.Dept.of Rad. |
Principal Investigator |
児玉 明久 神戸大学, 医学部, 助手 (30252787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉山 一隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212958)
河野 通雄 神戸大学, 医学部, 教授 (60030938)
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Keywords | 放射線肺炎 / 脂質過酸化 / ガスクロマトグラフィー / マススペクトロメトリー / フリーラジカル |
Research Abstract |
前回と同様の手法でC57BL/6Jマウス(雄12週齢)を用い放射線照射後の肺組織内脂質の組成変化をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(以下GC/MS)により分析し,病理組織学的な変化と比較検討した.またVitamin E(以下VE)とCoenzyme Q10(以下CQ)による抑制効果についても検討した. 今回は5Gyと10Gy(ピーク値,腺量率2.0Gy/min)照射し,4週間後の変化を検討した.脂質分析は主な脂肪酸のパルミチン酸,リノール酸,オレイン酸,ステアリン酸,アラキドン酸,ドコサヘキサエン酸の組成比率を各群間で比較検討した.病理組織学的検討ではマクロファージ、II型肺胞細胞、肺胞隔壁の浮腫、血管周囲腔の開大、フィブリン沈着、無気肺と肺気腫の混在の6つの項目について検討した. 脂質の変化はアラキドン酸とドコサヘキサエン酸で照射単独群で組成比の低下を認め(P<0.05),抗酸化剤投与群では5Gy照射CQ投与群以外は低下を認めなかった.一方リノール酸とオレイン酸では組成比は照射により上昇した. 病理組織学的には照射群はすべて炎症性変化を認めた.また照射単独群と抗酸化剤投与群では炎症所見の強度に差を認め,抗酸化剤による放射線肺炎の抑制を確認出来た.しかし照射線量や抗酸化剤の違いによる炎症性変化の差異は明らかでなかった. 以上より放射線肺炎の発生の機序には一部不飽和脂肪酸の低下(過酸化)が関与している可能性が示唆され,その防護にVEやCQが有用であると考えられた.
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