1995 Fiscal Year Annual Research Report
RI標識抗体による癌の放射線内用療法を有効化するための分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
07671027
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 佳代子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20124480)
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Keywords | RI標識抗体 / 内用療法 / 腫瘍 / CEA / アポトーシス / 胃癌 / 白血病 / I-131 |
Research Abstract |
本研究はRI標識抗体による内用療法によって腫瘍細胞がいかに変化するかを分子生物学的に明瞭にすることを目的にしている。即ち、RITによって生じる現象として単に細胞の生死だけでなく、アポトーシスなどの細胞死の形態学的、分子生物学的変化を追跡する。特に、標識核種、投与量、繰り返し投与などの諸条件が個々の項目に及ぼす影響を明らかにする事を意図している。 平成7年度は細胞培養のin vitroの実験に終始し、以下のような成果が得られた。 (1)CEA産生ヒト胃癌細胞をI-131にて標識したモノクローナル抗体、細胞表面のCEAを認識する抗体(ZCEO25, 21B2)とインキュベートし、細胞の壊死、アポトーシス像を形態学的、分子生物学的に観察した。 (1)細胞のサイズ、クロマチンの凝縮、DNAの断片化の観察の結果、アポトーシスを示す知見は認められなかった。アポトーシスの現象はいずれの抗体についても認められず、また投与量を変化させても結果は同様であった。 (2)MTTアッセイによる細胞の増殖能の測定の結果、いずれの抗体においても細胞の致死効果が認められたが、これは投与量に依存した。さらに、低い投与量でも繰り返し投与によって一度の高投与量よりも高い致死効果が得られた。 従来、標識抗体の繰り返し(フラクショネーション:分割)投与は一度の投与よりも効果があり、これは腫瘍組織などの血管壁の透過性を高めるためと考えられていた。しかし、本研究の結果、繰り返し投与は細胞のレベルでもなんらかの作用を与えているという新しい知見を得た。 (2)マウス白血病細胞をI-131にて標識した抗体、マウス白血球表面抗原を認識する抗体とインキュベートし、細胞の壊死、アポトーシス像を形態学的に観察した。 (1)細胞のサイズ、クロマチンの凝縮など、アポトーシスを示す知見を認めた。この知見は細胞をI-131のみ、または、I-131で標識した非特異的抗体とインキュベートした場合にも認められ、アポトーシスの現象は抗体に特異的でなく、I-131によるものであると推定された。
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[Publications] Kayoko Nakamura: "Distribution and Pharmacokinetics of ^<111>In-DTPA-IgG in Healthy Human Subjects" RADIOISOTOPES. 44. 303-309 (1995)
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[Publications] Masaaki Tachibana: "Autocrine Growth of Transitional Cell Carcinoma of the Bladder Induced by Granulocyte-Colony Stimulating Factor" Cancer Research. 55. 3438-3443 (1995)
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[Publications] 中村 佳代子: "酵素阻害剤がヨード標識抗体の生体内分布に及ぼす影響" 免疫・腫瘍核医学. 10. 29-31 (1995)
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[Publications] 佐藤 導直: "In-111標識抗CEAモノクローナル抗体の生体内分布" 腫瘍マーカー研究会誌. 10. 147-149 (1995)
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[Publications] 中村 佳代子: "おもしろいバイオ新素材のはなし" 日刊工業新聞社, 265 (1996)