1995 Fiscal Year Annual Research Report
キンドリング発作後の海馬機能低下による遅発性神経細胞死、神経発芽の検討-難治てんかんにみられる内側側頭硬化病変の発生機序
Project/Area Number |
07671044
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 克博 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
布施 裕二 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90125683)
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Keywords | キンドリング / 海馬脳波抑制 / 神経発芽 / 細胞脱落 |
Research Abstract |
本研究の目的はキンドリング形成過程における脳波と海馬の組織学的変化との関連についてである。この目的を踏まえ、平成7年度は1)扁桃核と貫通路という刺激部位の異なるキンドリングにおける細胞脱落、神経発芽の程度の差異、2)神経発芽と細胞脱落の発生機序における後発射と二次性後発射の持続時間と発作回数、および発作後脳波抑制の持続時間との関連を検討した。 SD系ラットを用い、左扁桃核、左貫通路に刺激用電極と同側海馬に脳波記録用の電極を挿入した2群に、一日一回60Hz、1sec、域値にて合計17回刺激を加え、キンドリングモデルを作成し1)行動、脳波の検討;キンドリング形成過程の発作段階の変化の観察と、刺激部位と同側海馬より脳波を記録し後発射持続時間、二次性後発射持続時間、刺激部位脳波抑制持続時間、海馬脳波抑制時間を測定した。脳波の抑制は刺激前の振幅の50%以下を抑制とした。2)組織学的検討;刺激終了10日後に脳を還流固定し、神経発芽と細胞脱落の程度を計測した。 以上の実験から次の知見が得られた。1)刺激部位による差異;対照群との比較で、貫通路キンドリング群では同側海馬歯状回に神経発芽と細胞脱落が生じていたが、反対側には変化を認めなかった。扁桃核キンドリングでは、両側に神経発芽は認められなかったが、細胞数は減少していた。2)脳波と神経発芽、細胞脱落の関連;細胞脱落の程度は後発射、脳波抑制時間および発作回数と強い相関がみられたが、神経発芽の程度とは特異的な相関は得られなかった。3)脳波抑制時間は、後発射、二次性後発および発作回数と強い相関がみられた。 以上の結果から今後、脳波と海馬の組織学的変化との関連についてデータ分析方法を改良すると共に細胞脱落(細胞死)の原因追求のため免疫組織学的手法を加え検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐藤光源: "キンドリングによるてんかんの病態解明." 第24回日本医学会総会会誌. II. 532-533 (1995)
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[Publications] 大沢真理子: "獲得けいれん準備性と二次性全般化発作、海馬組織学的変化との関連-扁桃核キンドリングによる研究." てんかん研究. 13(2). 113-121 (1995)
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[Publications] 佐藤光源,加藤進昌編: "てんかん-けいれん準備性と発作発現の神経機構" 学会出版センター, 170 (1995)