1996 Fiscal Year Annual Research Report
キンドリング発作後の海馬機能低下による遅発性神経細胞死、神経発芽の検討-難治てんかんにみられる内側側頭硬化病変の発生機序
Project/Area Number |
07671044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 克博 東北大学, 医学部・付属病院, 医員
布施 裕二 東北大学, 医学部・付属病院, 助教授
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Keywords | てんかん動物モデル / キンドリング / 海馬硬化 / 神経発芽 / 細胞脱落 / 海馬脳波抑制 / アポトーシス / TUNEL法 |
Research Abstract |
平成7年度までの研究にて、扁桃核および貫通路キンドリングの脳波から、後発射持続時間・海馬脳波抑制持続時間を求め、これと脳病理所見として海馬歯状回の細胞脱落・神経発芽の程度との関連について検討した。その結果相互について明白な関連は得られなかった。ここで得られた結果として、細胞脱落が神経発芽の生じる以前に起こっており、また細胞脱落は全身痙攣との関連よりむしろ後発射反復回数と関連が見られ、神経発芽は全身痙攣を少なくとも10回以上反復して生じてくることから全身痙攣の反復と関連が見られた。 そこで平成8年度は細胞脱落のメカニズムについて検討した。現在のところ細胞死についてはネクローシス・アポトーシスそして遅発性神経細胞死(これもアポトーシスによるとの報告がある)がある。今回はTUNEL(TdT-mediated dUTP-biotinic end labeling)法にて細胞死にともなう断片化DNAを組織化学的に検出した。その結果扁桃核・貫通路キンドリングにて、後発射を7回反復したものから、細孔125回全身痙攣を反復したものまで検討したが、TUNEL法ではすべて陰性であった。TUNEL法は原理的に切断されたDNAであればアポトーシスは強陽性に検出されるが、一部ネクローシスも検出される。結果からまったく陰性であったことから、前回の実験結果と異なる結果となった。また現在までに報告されている結果を否定するものである。その原因として1)細胞数測定法の誤り、2)細胞死ではなく細胞変性である可能性、3)TUNEL法で捕らえられなかったネクローシスの存在、などが考えられ、今後は2)3)について検討する必要があるという結果となった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yokoyama H. et al.: "Centrally acting histamiue H1 antagonists promote the developement of amygdala Kindling in rats" Neuroscience Letters. 217. 1-3 (1996)
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[Publications] 佐藤光源: "てんかん研究の最前線-基礎と臨床の境界" 田中達也、国本雅之編(ライフ・サイエンス)(印刷中), (1996)
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[Publications] Morimoto, K et. al.: "Kindling 5" Raven Press New York (Plenum Press), (1996)