1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 直二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (10145691)
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Keywords | 進行性核上麻痺 / 嗜銀性構造物 / ガリアス・ブラーク染色 / tuft-shaped astrocyte / glial coiled body / argyrophilic thread |
Research Abstract |
進行性核上麻痺(PSP)12剖検例で、ガリアス・ブラーク染色を用いてグリア系の嗜銀性構造物の脳内分布を検討した。最初に、この嗜銀性構造物の形態は、(1)tuft-shaped astrocytes(TuSAs)、(2)glial coiled bodies(GCBs)、(3)argyrophilic threads(ATs)の3つに分けられた。TuSAは、基本病変である皮質下諸核以外に大脳皮質にも分布している症例が多かった。GCB、ATについては、皮質下諸核や大脳皮質の分布状況はTuSAにほぼ一致していたが、それ以外に近位する大小脳白質や神経線維束にも多数出現していた。 この嗜銀性構造物は、大脳皮質では主に中心前回を中心に前運動野にも波及していた。側頭葉での出現量は極めて少なく、前頭葉、後頭葉の分布は症例によりかなり異なっていた。大脳皮質の病変では、この嗜銀性構造物に加えて、中心前回の皮質深層の神経細胞の脱落、線維性グリオーシスをみる症例が6例みられた。 さらに、免疫組織化学的技法を用いてこのグリア系の細胞骨格異常の性状について検討した。この性状は3種類ともほぼ同じであり、また、ニューロンにみられる神経原線維変化にかなり類似していた。すなわち、抗タウ蛋白抗体では陽性であり、ユビキチン、paired helical filamentsにはごく一部が陽性であり、陰性部分が多かった。 PSPでは、グリア系の細胞の骨格異常が病因的にも大きな意義を有している。大脳皮質の神経変性の機序を検討するに、明らかに神経細胞の脱落に先行しており、グリア系の異常がPSPの変性に重要な役割を果たしていると考える。
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