1996 Fiscal Year Annual Research Report
難治性うつ病に対する薬物治療ストラテージの分子薬理遺伝学的研究
Project/Area Number |
07671064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
染矢 俊幸 滋賀医科大学, 保健管理センター, 講師 (50187902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村下 淳 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80252386)
下田 和孝 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30196555)
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Keywords | 難治性うつ病 / 三環系抗うつ薬 / 代謝 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
本研究は、三環系抗うつ薬(クロミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン)およびその代謝物血中濃度に関するデータ収集とその解析、これらの薬物代謝に関与する酵素の遺伝子レベルでの解析を行って、難治性うつ病の生物学的要因を探索し、新たな治療戦略を開発することを目的としている。 平成7年度には日本人108名でのクロミプラミンの水酸化・脱メチル化・抱合の個体差に関して既に論文報告したが、平成8年度では気分障害患者57名の薬物血中濃度および最終臨床改善度のデータを分析した結果、79%の症例でクロミプラミン、およびその代謝物血中濃度から臨床効果を正しく予測できることがわかった。また、この結果から治療効果の予測においては親化合物、水酸化代謝物および脱メチル化代謝物と同様に薬理効果のないグルクロン酸化合物の血中濃度も薬理効果のある親化合物・代謝物の血中濃度に影響をあたえることによって、間接的に臨床効果に影響を与える可能性があることが示唆された。この結果は論文報告を既におこなった(森田ら、精神医学、38(2):181-185,1996)。 また、デシプラミンで治療中のうつ病患者よりのサンプルの脱メチル化代謝物を含む薬物血中濃度定量は既に終了し、現在データを解析中である。またデシプラミンと同種の2級アミン三環系抗うつ薬であるノルトリプチリンで治療中の患者からのサンプルの収集も行っており、現在、薬物血中濃度の定量をおこなっている。これら2級アミン三環系抗うつ薬にて治療中のうつ病患者の遺伝子型決定についてはCh変異を中心に方法論を確立し、現在、患者からのサンプルを遺伝子変異の解析中である。
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