1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671069
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋山 一文 岡山大学, 医学部, 助教授 (40150990)
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Keywords | 精神分裂病 / サイトカイン / インターロイキン6 / インターロイキン1 / インターロイキン2 / 可溶性インターロイキン2レセプターα |
Research Abstract |
1)研究目的 精神分裂病を対象に血清のサイトカインとその関連物質について研究した。対象は初発未投薬または断薬によって再発した患者で、精神分裂病の診断はDSM-IVによって行った。血清中のインターロイキン-2可溶性受容体(IL-2sRα)、インターロイキン-1受容対アンタゴニスト(IL-IRA)、インターロイキン-6(IL-6)を測定し、両群間の比較及びそれらの精神症状または抗精神病薬への治療反応性との相関を検討することを目的とした。 2)得られた成果 分裂病群は全員断薬による再発初発未投薬の状態で岡山大学医学部附属病院神経精神科を受診した症例で、抗精神病薬服薬開始前、服薬開始から1週間目、4週間目、8週間目の計4回採血した。IL-2sRα値は健常対照者に比べて服薬前で有意に増加し、服薬後も有意な増加は持続していた。有意ではないが発症年齢とIL-2sRα値との間に負の相関傾向があることが認められた。IL-IRA値健常対照者に比べて分裂病群の服薬前後で有意な増加が持続していたが、服薬前、服薬開始1週間目に比べて4週間目、8週間目では増加幅が減弱する傾向が認められた。服薬前のIL-1RA値は精神症状改善度と有意な負の相関関係を示した。IL-6値も健常対照者に比べて服薬前で有意に増加し、服薬後も有意な増加は持続していた。 3)未解決の問題とその解決の見通し これらのサイトカインのなかには初発または再発時のような急性期では異常値を示し、薬物治療とともに健常対照群の範囲に近づくいわゆるstate markerに属すると考えられるもの(IL-1RAなど)もあるが、一方ではtrait markerとしての可能性を持つものもある可能性がある。これらのサイトカインが分裂病の病態でどのような役割を演じているかは不明である。 4)当該研究の国外での研究状況 血清中のIL-2sRα,IL-6値の高値は未服薬分裂病群で既に報告されている。血清中のIL-1RA値は未投薬患者で有意に高いが、抗精神病服薬中の患者では増加幅が減弱する傾向が報告されているが、今回の研究でも同様な傾向が認められた。
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Research Products
(1 results)