1997 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発作全般化機序における周嗅領皮質の役割についての実験的研究
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07671070
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 了士 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10240029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 昌純 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
佐藤 俊樹 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 周嗅領皮質 / キンドリング / てんかん / 発作全般化機序 / 島皮質 |
Research Abstract |
平成7年、8年度の実験でラットキンドリング発展過程における免疫組織化学的手法を用いた研究などから、1)扁桃核および周嗅領皮質(PRC)キンドリングではキンドリングの初期にはまず刺激同側半球でてんかん性活動が広がり、続く反対側の伝播過程でPRCが重要な役割を持つと考えられること、2)PRCを刺激部位としたキンドリングはPRCが新皮質と辺縁系のてんかん性活動を中継する役割を示す特徴が見られたことを報告し、キンドリング発展におけるPRCの興奮的役割の重要性を示した。 平成9年度ではキンドリング完成発作に対し、PRCに神経麻酔薬であるprocaineを微量注入し局所神経活動を可逆的に抑制してその効果を観察した。その結果、同側のPRCへの0.2または1mMのprocaine微量注入(Hamilton syringeを使用し、総量0.5μlを5分間で注入)では5匹中4匹でキンドリング完成発作抑制の効果が認められなかった。一方、予備的実験で、PRCの前方に連続して存在する島皮質(insular cortex)に対してprocaineを注入したところ、可逆的にキンドリング発作を強く抑制し、後発射の出現も完全に抑制された。またPRCに対して興奮性アミノ酸受容体のNMDA受容体拮抗薬であるDL-APV(70mM)を微量注入しても効果はほとんど見られなかったが、島皮質へのDL-APVの微量注入はprocaineと同様キンドリング発作を抑制した。このように生理学的研究ではキンドリング発展において重要と考えられたPRCは、完成キンドリング発作においてはその重要性はより低く、むしろ隣接する島皮質のNMDA受容体の活性化が、完成キンドリング発作の発現に重要な役割をもつことが示唆された。しかし、今年度の研究は時間的な問題のため予備的結果に留まっており、現在研究を継続中である。 研究の現段階では、PRCはキンドリングにおけるてんかん原性が全般化する過程においては重要な役割を示すものの、完成キンドリング発作発現においてはその重要性は大きくなく、てんかん原性獲得機序とけいれん発作発現機序の両者の間で重要な伝達経路が異なる可能性があると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sato,T: "Perirhinal corttcal Kindling:A behavional and immunohistochemical study" Epilepsia. 37S3. 67-68 (1996)
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[Publications] Sato,T: "Perirhinal cortical kindling:An immunohistochemical Study" Epilepsia. 38S6. 60-61 (1997)
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[Publications] Orita,A: "Epilaptic activity in the cat perirhinal cortex in response to amygdala kindling" Psychiatry and Clinical Neurosciences. 49. 290-292 (1995)
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[Publications] 析田 暁尚: "側頭葉てんかんにおける周嗅領皮質(perirhinal cortex)の役割" てんかん研究. 15・3. 189-199 (1997)
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[Publications] 山田了士: "てんかん研究の最前線II 基礎と臨床の境界" 田中達也編(ライフサイエンス社), 6 (1997)