1995 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害の「復興過程」における心理学的障害に関する計量疫学的研究-GHQ30項目版の因子分析による追跡を基に-
Project/Area Number |
07671075
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
太田 保之 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50108304)
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Keywords | 災害 / 外傷後ストレス障害 / 災害精神医学 / 心理学的障害 / GHQ |
Research Abstract |
普賢岳噴火災害の避難住民に認められる精神医学的問題の時間的推移を、GHQ30項目版(General Health Questionnaire-30)を用いて、避難生活開始から6カ月が経過した時点と12カ月が経過した時点で比較検討した。非精神病性精神障害が疑われる閾値点であるGHQ8点以上の高得点者率は68.2%から57.3%へと有意に低下していた。しかし、日本における平時のGHQ研究結果に比較すると、57.3%は尚も著しく高水準であることが確認された。次に因子別に見ると、「不安・緊張・不眠」因子と「無能力・社会機能障害」因子の得点は有意に低下していたが、「抑うつ」因子と「快感消失」因子は差を認めなかった。一方、「対人関係困難」因子(「周りの人々に親しみや暖かさを感じない」、「周りの人々とうまく付き合っていくことができない」)の得点は有意に上昇していた。つまり、不安や社会的無能力に関連した症状群は有意な改善を示したが、抑うつ感や快感消失は依然として同レベルにあり、対人関係上のストレスは逆に増悪していた。これらの所見から、長期的な避難生活による共同社会意識の希薄化が、抑うつ感、快感消失感、対人関係困難感などの症状群を持続・悪化させている可能性の高いことが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 太田 保之: "雲仙・普賢岳噴火災害による避難住民の精神医学的問題" 日本社会精神医学雑誌. 3. 109-130 (1995)
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[Publications] 太田 保之: "災害精神保健システムと精神科医の役割" 臨床精神医学. 24. 1557-1565 (1995)
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[Publications] 太田 保之: "普賢岳噴火災害後に実施された精神保健援助諸施策" 臨床精神医学. 24. 1605-1613 (1995)
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[Publications] 太田 保之: "長期避難住民に対するメンタルヘルス" 保健の科学. 37. 684-688 (1995)