1995 Fiscal Year Annual Research Report
クロイツフェルト・ヤコブ病の発症因子と発症機序の解明
Project/Area Number |
07671085
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 義夫 北里大学, 医学部, 講師 (40095500)
中村 和生 北里大学, 医学部, 助手 (40189030)
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 講師 (90118810)
田口 文章 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (40050455)
滝 龍雄 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (70049097)
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Keywords | クロイツフェルト・ヤコブ病 / 海綿状変性 / TNF-α / TNF-α特異的mRNA / サイトカイン |
Research Abstract |
[目的]最近、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)における脳の海綿状変性の誘導に、TNF-αの関与が示唆されてきている。本年度は、研究計画の中から、当該研究を重点的に行った。即ち、CJD患者の末梢血中のTNF-α活性と末梢リンパ球のTNF-α特異的mRNAの発現を測定すると共に、CJDを発症させたマウスの脳組織のTNF-α特異的mRNAの発現と末梢血のTNF-αの有無を調べる事により、CJD発症におけるTNF-αの関与を明らかにしようとした。 [結果]1.ヒト末梢血中のTNF-αの検出:末梢血中のTNF-αは、健常人72.6pg/ml、CJD患者58.1(±16.3)、パーキンソン病患者26.2(±11.6)、アルツハイマー病患者43.8(±19.6)で、統計的に有意差はなく、病態との相関関係の有無は明らかではなかった。RT-PCR法を用いてCJDとアルツハイマー病患者の末梢血リンパ球のTNF-α特異的mRNAの発現を比較したが、対照群とCJD群との間に差は認められなかった。 2.CJD感染マウスにおけるTNF-αの検出:CJD北里1株を脳内接種後、経日的に採血すると共に脳を採取した。末梢血血清中のTNF-α量は、接種マウスと対照マウスとも検出限界以下であった。同一マウスの脳組織でのTNF-α特異的mRNAの発現は、潜伏期間から発病期のどの期間ににおいても検出されなかった。 [結論と考察]本研究からはCJD脳の海綿状変性発現にTNF-αが関与していることを裏付ける知見は得られなかった。最近、米国の研究者がスクレイピ-マウスを用いて潜伏期後期にTNF-α、IL-α、IL-1βのmRNAが脳組織で発現することを報告している。今後、TNF-αの産生だけではなく、matrix metalloproteinase inhibitor等を用いて、TNF-αの細胞内からの分泌抑制により海綿状変性の抑制、或いは遅延が誘導できるか否かを検討することを計画している。
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