1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリフオスファターゼ強制発現細胞を利用した、同酵素の好中球における機能解析
Project/Area Number |
07671176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 典治 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (90162461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
谷 憲三朗 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00183864)
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Keywords | アルカリフォスファターゼ / 骨髄細胞 / 酵素 / 分化 |
Research Abstract |
アルカリフォスファターゼcDNAを真核細胞発現ベクターに挿入し(MMTVプロモーターを持つ)、直線状にした後、人骨髄性細胞株へのトランスフエクションを試みた。U937細胞株を標的細胞としてトランスフエクションを行うため、初めに一過性の形質転換をおこないエレクトロポーレイションの条件設定を行を行った。そこで得られた最適条件を用いて、U937株をトランスフェクションしG418存在下で増殖する細胞を選んだ。いくつかのウエルで細胞の増殖が観察されたため、96ウエルに移し変え限界希釈法により細胞のクローニングを試みた。ここで得られた細胞は、大多数がデキサメサゾンによりアルカリフォスファターゼの誘導が観察されたが、デキサメサゾンの添加無しでも、弱いアルカリフォスファターゼ活性が認められた。又一つの株はG418耐性であったが、アルカリフオスファターゼ活性は全く認められなかった。これらの細胞株を用いて、親株との比較を行った。 1 アルカリフォスファターゼ弱陽性のU937(U937-ALP)は、クローニングした後も二つの集団に別れた。一つは親株と同様の大きな細胞集団であり、もう一方は小型の細胞集団であった。 2 U937-ALPをデキサメサゾン処理すると、小型の細胞集団が増加した。 3 U937とU937-ALP(デキサメサゾン処理)の大型細胞を比べると、CD11a,CD13,CD15,CD29には大きな差はなく、CD33,DR,Fas抗原量の減少が認められた。 4 デキサメサゾン処理をしたU937-ALPの大型細胞と、小型細胞の細胞表面抗原の比較では、小型細胞でのCD33,CD11aの減少と、CD38,CD67の増加が著しかった。以上より、アルカリフォスファターゼを強制発現させると、細胞表面抗原の発現にも変化が生じ、U937の一部は分化が促進させられるような結果が得られた。
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