1995 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎障害及び血管障害におけるAGEsの役割の検討
Project/Area Number |
07671240
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊刈 裕二 東京大学, 医学部(病), 助手 (70271567)
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Keywords | AGEs / aminoguanidine / 血管 |
Research Abstract |
【背景】Advanced Glycation End Products(AGEs)は高血糖や酸化ストレスにより蛋白質や脂質が非酵素的に糖化された物質で、糖尿病性合併症の原因物質であること、また、AGEsのリセプターは平滑筋や単球に存在し、AGEsとの反応で細胞内に酸化ストレスを引き起こすことなどが次第に明らかとなってきた。近年、血糖値正常のrabbitの動脈硬化やヒトの動脈硬化にAGEsが認められたとの報告があるが、その産生機序およびその役割は明らかではない。【目的】我々は傷害血管でAGEsが産生されると仮説をたて、ラット頚動脈バルーン傷害モデルでAGEsの産生とAGEsの拮抗薬であるaminoguanidineの効果について検討した。【方法】血糖値正常のオスWisterラット14週令の左総頚動脈にバルーン傷害を与え、14日目に左および右総頚動脈を摘出した。ラビット抗AGEsポリクローナル抗体を用い、免疫組織染色にてAGEsの沈着の有無を、Western blottingでAGEsの存在を検討した。また、AGEsの拮抗薬であるaminoguanidineを連日400mg/kg腹腔内に投与し、14日目の新生内膜増殖の抑制を検討した(n=14)。【結果】免疫組織染色にて新生内膜には著明なAGEsの沈着が認められたが,対側の非傷害血管にはAGEsは認められなかった。Westem blottingでは術後5日目よりわずかに検出でき、14日目では明らかに傷害側にbroad bandの陽性所見が認められたが、対側には認められなかった。AGEsの拮抗薬であるaminoguanidineの投与では、新生内膜/中膜比がコントロール群と比べ有意に低値で(0.5±0.18,1.1±0.29,p<0.01)、新生内膜増殖抑制効果が認められた。【総括】局所で産生され、蓄積されるAGEsは血管増生に強い関連があると推察される。
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