Research Abstract |
1)クロライドチャネルの生体内での存在部位の確定. 合成ペプチドを抗原としてウサギを免疫して抗血清を採取した.抗体の特異性をウエスタンブロット,ELISAにて判定し,免疫組織化学にて存在部位を特定した. CIC-K1は腎臓の乳頭部における細いヘンレの上行脚にのみ存在し,電顕にて細胞膜上に存在することが確認された.しかも,apical,basolateral側,両側に存在し,この部位での高いクロライドイオン透過性をになっているクロライドチャネルであると思われた. CIC-K2はCIC-K1と非常に相同性の高いチャネルであるが,免疫組織化学によって,CIC-K1とは異なる部位,すなわち皮質集合尿細管,ヘンレの太い上行脚に存在することが判明した.CIC-K1と異なり,細胞膜だけでなく,細胞質にも染色性が強く,細胞内膜系にも存在する可能性が示唆された. CIC-3は集合管,血管に染色されたが,その後,CIC-3と相同性の高いクロライドチャネルCIC-4,-5が単離され,現在その抗体のCIC-3に対する特異性を検討中である. これらの結果は,腎臓でのクロライドチャネルの役割の理解に重要な貢献をしたと考えられる. 2)クロライドチャネルの構造と機能について. CIC-K1は細胞外pHの影響を受けることを明らかにした.このことから,このpH感受性部分の同定を行うことにより,CIC-K1クロライドチャネルのイオン透過に重要な部位を特定できると考えた.よって,細胞外と思われる荷電を帯びたアミノ酸に変異を入れ,pH感受性がどう変化するかを検討中である. 3)ヒト尿細管機能異常におけるCIC-K1,-K2クロライドチャネルの関与について. ラットCIC-K1,-K2をプローブとして,ヒトCIC-K1,-K2を単離した.これにより,現在ヒトCIC-K1,-K2遺伝子の構造を解析中であり,次年度,この情報を元にして,ヒト尿細管機能異常症でのこれらの遺伝子の関与を検討する.
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