1997 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害における腎間質のfibrogenesisにかんする研究
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07671257
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
御手洗 哲也 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50101374)
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Keywords | 培養近位尿細管細胞 / Physical force / TGF-β / MCP-1 |
Research Abstract |
これまで、ラットで片側の尿管閉塞(UUO)モデルを作成し、腎間質病変の経時的変化の推移を検討した。その結果、尿管結紮後に尿細管上皮細胞の増殖が短期間で誘導され、尿細管上皮細胞のosteopontin(OPN)やα smooth muscle actin(αSMA)の発現が誘導されること、その後マクロファージを主体とする間質の細胞侵潤が出現し、次第に間質の線維化が形成されることを明らかにした。このことは、尿管結紮による尿細管内圧の上昇や尿細管拡張による張力負荷などの尿細管上皮細胞に加わる物理的刺激が、尿細管上皮細胞の細胞動態を変化させる可能性を示唆している。そこで、本年度は、尿細管上皮細胞が間質の線維化にどの様に関わるかを明確にする目的で、培養近位尿細管細胞の細胞動態に対する張力負荷の影響を検討した。Fibronectineをコートしたシリコンラバーにヒト近位尿細管細胞(10継代)を培養し、20%の静的伸展刺激(張力負荷)を加え、24時間、48時間後に培養上清中のTGF-β、IL-6、MCP-1濃度をELISA法にて測定し、非伸展刺激下の培養上清での濃度と比較した。その結果、20%の静的伸展刺激を加えた尿細管細胞の培養上清では非伸展刺激下の培養上清に比し24時間後からTGF-βの産生亢進を認めた(2500pg/mlVs680pg/ml)。また、MCP-1、IL-6も伸展刺激後48時間で産生亢進が認められた(IL-6;850pgVs181pg/ml,MCP-1;1417Pg/mlVs813pg/ml)。以上より、近位尿細管細胞は張力負荷により細胞動態が変化してサイトカイン・ケモカインの産生が亢進することが明らかとなり、これらのサイトカイン・ケモカインが間質病変・線維化の形成に大きな役割を果たす可能性がある。
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