1995 Fiscal Year Annual Research Report
周産期低酸素症および高炭酸ガス症の新生児呼吸調節への影響
Project/Area Number |
07671273
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松岡 高史 信州大学, 医学部, 講師 (70270965)
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Keywords | 呼吸調節 / ヘリングブロイエル反射 / 急性反復性低酸素症 / 乳幼児突然死症候群 / 未熟児無呼吸発作 |
Research Abstract |
【目的】乳幼児突然死症候群(SIDS)の病因解明の一助とするためSD新生仔ラットを用いて、周生期(胎児期+新生児期)に胎仔あるいは新生仔を低酸素または高炭酸ガス環境に暴露し、その後の呼吸調節能への影響を検討する。【方法】7年度は、新生児期の急性反復性低酸素症と高炭酸ガス症の影響を検討した。実験群は、日齢1から4まで朝と晩の1日2回、30分間ずつ、6%の酸素濃度負荷と6%の炭酸ガス濃度を吸入させ、日齢5に呼吸抑制反射であるHering-Breuer反射と換気量を測定した。コントロール群は、実験群と同日齢、同期間、同システムで空気を吸入させた。【結果】最初に、覚醒新生仔ラットの呼吸パターンの測定装置を考案した。(第40回日本未熟児新生児学会(神戸)にて発表済)。次に本装置を使用して以下の知見を得た。実験群とコントロール群を比較した結果、 A)6%低酸素を負荷された新生仔ラット(第99回日本小児科学会(熊本)発表予定) 1)空気吸入時の分時換気量は有意に増加し、10%酸素吸入下では同程度の値まで低下した。その結果、空気吸入中の値に対する%controlでは有意な低下を示した。 2)空気吸入時のHering-Breuer reflex(HBR)は有意に増強し、無呼吸時間の延長を認めた。また、10%酸素吸入下ではHBRは空気吸入時よりも更に増強した。 B)6%高炭酸ガスを負荷された新生仔ラット 1)空気吸入、3%高炭酸ガス吸入に対する分時換気量、HBRともに差異を認めなかった。 【結語】新生児期早期の急性反復性高炭酸ガス負荷はその後の呼吸調節能に影響を与えないことがわかった。一方、急性反復性低酸素負荷は、空気吸入下のみでなく低酸素吸入下にも呼吸調節能に影響を与えることがわかった。しかも、低酸素吸入下では分時換気量の低下や無呼吸時間の延長などの呼吸抑制が著明にみられ、呼吸調節能の破綻が示唆された。
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