1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671281
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
安井 寛 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60210241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231451)
森島 正恵 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00241068)
中澤 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
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Keywords | 心発生 / 細胞外基質 / マウス / レチノイン酸 / インデグリン |
Research Abstract |
レチノイン酸投与による大血管転換症マウスモデルの形態形成過程を分析した。流出路中隔形成前(胎生8-9日)に心円錐内に形成される一対の細胞外基質性隆起が低形成・異形成となること、心円錐の低形成のためにほぼ動脈幹に由来することになる流出路隆起がcounterclockwise rotationを欠如し、まっすぐな流出路中隔が形成された。また、免疫組織化学的検索により、collagen type I,Fibronectin,Hyaluronaic acidがTGAモデルの心流出路で特徴的分布を示すことを見出した。次いで、Fibronectinの代表的受容体であるintegrin α 4の局在を免疫組織化学的に検索した結果、胎生10-12日目のマウス胎仔において、integrin α 4は心流出路・流入路の心内膜由来の間葉細胞、神経堤細胞由来の流出路中隔、静脈洞中隔、左キュビエ管において、Fibronectinの分布に一致して発現しており、ループ後の心形態形成への積極的な関与が示唆された。しかし、胎生9日目の心ジェリー低形成への関与は認められず、むしろcollagen type I受容体あるいはHyaluronic acid受容体が心ジェリー低形成と関連する可能性があり、この点に関して現在検索中である。一方、レチノイン酸投与の時期を更に早くすることにより、lateralityの異常を伴う複合心奇形即ち臓器心房錯位症候群が誘発される。大血管転換はその奇形群の一つとして現われる。また、大血管転換を単独に誘発する系でも、レチノイン酸投与量を少なくした場合、正常大血管関係を保持した円錐動脈幹奇形群が誘発され、大血管転換に属する心奇形群との間でspectrumを示す。今後は、細胞外基質やその受容体、更にその下流の、細胞内でのシグナル伝達の異常について、これらの拡張した大血管転換モデルにおいても解明していく予定である。
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