1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671288
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩川 眞由美 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30231723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木沼 洋行 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90230193)
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Keywords | アポトーシス / サイトカイン / 部分肝切除 / 神経芽腫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経芽種における自然治癒過程に関わる因子を明らかにすることである。 1.肝部分切除後の肝再生:A/jマウス8週齢雌性の再生速度は肝切除後4日までに最大となった。 2.肝部分切除後の肝内腫瘍増殖:腫瘍細胞静注移植後5日目に30%肝切除を施行し、肝転移コロニー数を肉眼的に測定した。sham群肝コロニー数平均31個に比し、肝切除群6.3個と、肝切除は腫瘍抑制効果を示した。(p〈0.01) 3.肝部分切除後の大腿部皮下比腫瘍増殖:腫瘍細胞肝5x105個筋肉内移植により作成した大腿部皮下腫瘍に対しては、肝切除後の影響は観察されなかった。 4.肝部分切除後の腹壁皮下腫瘍増殖:腫瘍細胞102個腹壁皮下移植により作成した大腿部皮下腫瘍に対しては、初期に腫瘍抑制がみられた。 以上の結果より、腫瘍増殖抑制の実験系として肝切除の動物実験モデルを確立した。又、その腫瘍抑制効果は、肝内のみに留まらず、皮下腫瘍にも影響を及ぼした。以上より肝分画液性因子について解析した。 5.肝切除後に放出される各種サイトカインによる抗腫瘍効果:HGF,TGFα,TGFβ,EGF,ActivinAをin vitro培養液に添加し、MTT assayを施行したところ、HGF,TGFα,EGF,は暴露時間3日間で変化なく、TGFβでは10ng/ml以上の濃度で抑制効果が観察された。ActivinAは著名な抑制効果をdose-dependentに示した。 6.培養細胞の転移能:invivo liver colonyにおいてActivinAは著名な抑制効果を呈した。 これらサイトカインの抗腫瘍抑制効果は注目すべき現象で、それぞれの転移臓器における腫瘍細胞と臓器内皮細胞あるいは間質細胞の相互作用により、腫瘍の増殖・退縮のメカニズムが作働する可能性が示唆された。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Iwakawa,M.: "Enhanced metastasin after local therapy" Int.J.Pediatr.Hematol.Oncol.2. 433-439 (1995)
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[Publications] Iwakawa,M.: "Inhibition of bone marrow metastasin by calmodulin antagonists" Int.J.Pediatr.Hematal. Oncol. 4. 423-431 (1997)
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[Publications] 岩川 真由美: "Chlorpromazineのマウス神経芽腫に対する腫瘍増殖抑制効果" 小児がん学会誌. 33. 404-406 (1996)
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[Publications] 岩川 真由美: "肝切除による転移抑制" 小児がん学会誌. 33. 512-514 (1996)
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[Publications] 岩川 真由美: "神経芽腫臨床病期によるアポトーシス出現頻度" 日小外会誌. 39. 65-69 (1997)
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[Publications] 岩川 真由美: "蛇毒トロンビン様控訴batroxobinによる転移抑制効果" 小児がん学会誌. 34. 36-39 (1997)
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[Publications] N,Takahashi: "Expression of apogens and engulfeins duving programmed cell death" Arch Histol. Cytol.58. 243-248 (1995)
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[Publications] C,Milligen: "Peptide inhibitors of the ICE protease family arrest programmed cell death" Neuron. 15. 385-393 (1995)
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[Publications] H.yaginuma: "A novel type of programmed neuronal death in the cewical spinal cord" J.Neurosci. 16. 3685-3703 (1996)
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[Publications] 八木沼 洋行: "神経系の発生過程に見られる神経細胞死の観察" 電子顕微鏡. 30. 38-44 (1995)
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[Publications] 八木沼 洋行: "神経系の発生過程におけるプログラム細胞死" 神経研究の進歩. 40. 173-186 (1996)
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[Publications] 八木沼 洋行: "ニューロサイエンスの新しい研究方法" Clinical Neuroscience. 14. 488-489 (1996)
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[Publications] 八木沼 洋行: "医学別冊バイオサイエンス用語ライブラリー" 三浦正幸・山田武編 羊工社 神経系の発生におけるアポトーシス, 132-1333 (1996)
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[Publications] 八木沼 洋行: "KEY WORD 神経変性疾患" 北野美邦、柳澤信夫、中野今治編 先端医学社 運動神経のプログラム死, 204-205 (1997)