1996 Fiscal Year Annual Research Report
cDDP耐性細胞の細胞膜メチオニン能動輸送に及ぼすcDDPの影響-cDDPの細胞内分布と葉酸代謝修飾の定量的評価-
Project/Area Number |
07671295
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大村 健二 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30194301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金平 永二 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251951)
|
Keywords | amino acid transporter / methionine / cisplatin / 胃癌 / 大腸癌 / フッ化ピリミジン / biochemical modulation |
Research Abstract |
ヒト胃癌由来のMKN-28、MKN-45と大腸癌由来のSW-48、HCT-15を用いたin vitro の実験を継続した。各細胞を、プレートに付着した状態と培養液中に浮遊した状態でcDDP(5μM、10μM)に接触させた。接触時間は12ないし24時間とした。その後、Metの細胞内へのuptakeを^<14>C-Metを用いて測定した。細胞がプレートに付着した状態では、cDDPの濃度や接触時間に関わらず、MetのuptakeはMKN-45において最も抑制されていた。特に24時間接触の後は、72%のMetのuptake阻害が観察された。また、24時間接触後はSW-48においても54%のMetのuptake阻害が観察された。しかし、これらの結果からcDDPによる細胞膜中性アミノ酸transporter阻害作用は、これまでの定説より遙かに軽微であるものと思われた。さらに、^3H-dThdのuptakeを同様に測定した。なお、^<14>C-Metと^3H-dThdのuptakeは生細胞数にて補正した。dThdのuptakeをみると、12時間接触、24時間接触ともにMKN-45で最も抑制されていたが、Metのuptake阻害と比較するとその阻害率は低率であった(22.2%vs45.4%、39.8%vs71.6%)。細胞が培養液中に浮遊した状態では、いずれの細胞においてもcDDPによるMetのuptake阻害が認められなかった。以上より、(1)cDDPによるMetの細胞内取込み阻害作用は、多種の細胞において認められるものではなく、またその程度も軽微であるものと思われた。(2)特定の細胞(MKN-45)では、dThdのuptakeによって補正した後も明らかなcDDPによるMetのuptake阻害が認められた。(3)cDDPによるMetのuptake阻害は、いずれの細胞においても接着状態でのみ認められた。
|