1995 Fiscal Year Annual Research Report
直腸癌術前放射線照射における腫瘍内サイトカインの分子生物学的解析とその臨床応用-機能温存直腸癌手術の適応と治療
Project/Area Number |
07671369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
洲之内 広紀 東京大学, 医学部(病), 助手 (80221331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 悟正 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (70272557)
樋口 芳樹 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
篠崎 大 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
鮫島 伸一 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
尾野 雅哉 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (00270900)
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Keywords | 直腸癌 / 放射線照射 / p53染色 / 縮小率 |
Research Abstract |
機能温存直腸癌手術はリンパ節転移の程度に関係する。以下の項目につき検討した。 1)腫瘍の縮小率とリンパ節転移との関係 2)p53染色性と放射線照射効果との関連性の検討。 3)p53染色性と放射線照射例の病理組織学的事項との関係。 放射線照射前に深達度A1以上と診断され、50Gyの照射の後治癒切除された36例を対象とした。注腸造影の2方向測定から照射前と照射後で比較検討し、腫瘍の縮小率を算出した。照射前と照射後で比較検討した。放射線照射後のDukes分類は、Dukes A6例、18例、12例であった。切除標本をABC法にてp53免疫染色を行った。抗p53抗体はDO7を用いた。 [結果]1)腫瘍縮小率の高い症例ではリンパ節転移のないもの(Dukes A、B)が多かった。2)p53染色性と臨床病理学的事項の関連性についてa)リンパ管侵襲(ly)との関連p53(+)ではly(+)7例、ly(-)12例、p53(-)ではly(+)0例、ly(-)17例であった。P53(-)は有意にly(-)の頻度が高かった(p=0.006)。b)リンパ節転移(n)との関連:p53(-)ではn(-)の頻度が高い傾向であった。c)Dukes分類との関連:p53(-)ではDukes Cの頻度が低い傾向であった。 以上よりp53(-)の直腸癌は放射線照射効果が高いことが示唆された。p53免疫染色は、直腸癌の放射線照射効果判定や予後判定のマーカーとなりうると考えられた。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 洲之内広紀,: "下部直腸癌に対する補助放射線療法の効果." 外科. 57(1):. 34-40 (1995)
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[Publications] 洲之内広紀,: "大腸癌手術." 臨床外科. 50(12):. 1435-1438 (1995)
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[Publications] 篠崎大,: "主題症例;colotic cancer-微細胞診をめざして 潰瘍性大腸炎合併大腸癌の2例 特に肉眼形態と表面パターンについて." 胃と腸. 30(5):. 671-676 (1995)
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[Publications] 篠崎大,: "潰瘍性大腸炎サーベイランスにおける精度の問題 どのような問題があり,どのような対処をすべきか." 胃と腸. 30(5):. 643-651 (1995)
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[Publications] 篠崎大,: "炎症性大腸疾患治療の現況と将来." 消化器外科. 18(3):. 275-284 (1995)
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[Publications] 樋口芳樹: "潰瘍性大腸炎の長期予後." 臨床消化器内科. 10(11):. 1617-1623 (1995)
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[Publications] 樋口芳樹,: "炎症性腸疾患の診療・診断法と鑑別診断." 外科治療. 73(4):. 393-400 (1995)
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[Publications] 石丸悟正,: "大腸癌の分子生物学的解析." 外科. 57(1):. 61-64 (1995)
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[Publications] 石丸悟正,: "消化器癌と分子生物学." 臨床成人病. 25(1):. 73-77 (1995)
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[Publications] 石丸悟正,: "腸壁・腸膜・腸管・肛門手術の病後管理 大腸ポリペクトミ-." 外科治療. 72(5):. 768-770 (1995)
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[Publications] 古川洋一.: "DNAシークエンス." Sugery Frontier. 2(1):. 93-97 (1995)
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[Publications] 尾野雅哉: "早期の癌-病態から診断,治療まで-大腸" 臨床科学. 31(10):. 1338-1346 (1995)
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[Publications] Ishimaru G.,: "Microsatellite Instability in Primary and Metastatic Colorectal Cancers." Intenational Journal of Cancer (Pred.Oncol.). 64:. 153-157 (1995)
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[Publications] FuruKawa Y.,: "Isolation and mapping of a novel human gene that is homologous to RPD3,a transcription factor in Saccharomyces cerevisiae." Cytogenetics and Cell Genetics. (in press). (1995)