1997 Fiscal Year Annual Research Report
直腸肛門管由来の大脳誘発電位を用いた排便機能評価の試み
Project/Area Number |
07671372
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八木 実 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 昌則 新潟大学, 医学部, 助教授 (40151906)
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Keywords | 大脳誘発電位 / 小児 / 直腸肛門奇形 / 肛門管刺激 / 直腸刺激 / 術後排便機能評価 |
Research Abstract |
小児消化器外科領域で直腸肛門疾患の頻度は高いものの術後排便機能不良で術後経過観察上、問題となることも多い。その術後排便機能をより客観的に評価することは極めて重要で従来の肛門内圧検査では似たような所見を呈しながら排便機能が異なる例も稀ではなかった。我々は排便と中枢神経系との関連に注目し肛門管ないし直腸末端部で自ら企画立案し制作したこけし状電極により電気刺激し大脳誘発電位を記録しその波形を構成するファクターで排便機能と関連する指標があるかどうか検討した。対照を直腸肛門奇形術後遠隔期例(7歳以上)とし本年度は特に病型や排便機能を表すKellyの臨床スコア(失禁、下着の汚染、肛門指診による肛門括約筋の筋力からスコアリングしGood,Fair,Poorと評価)と対比した。電気刺激に対する知覚は肛門より直腸の方が鈍かったが刺激電極の方向による差、病型による差、臨床スコアとの関連は何れも有意でなかった。誘発電位は再現性を得ることは極めて難しい上に通常の誘発電位で認められるW型の曲線を示すことは少なかった。そのため明らかなP2,N2各ピークを見いだせないようなV字型の誘発電位波形を示すことが多く同一部位で繰り返し測定し再現性を目指さざるを得なかった。結局、誘発電位波形から得られたOnset time値,P1潜時値,N1潜時値,各振幅比:Onset Time/P1,P1/N1等からは同一症例内、症例間毎にばらつきが多く排便機能に結びつく有力な指標は見いだせなかった。この様な現象は直腸肛門由来の内臓感覚が無髄神経主体で、体性神経経路のものと内臓神経経路のものが複雑にくみ合わさり構成されていることにより生じ、これにより再現性のある誘発電位が得にくかったものと推定された。
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