1996 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血・再灌流障害におけるKupffer細胞機能への影響とその対策
Project/Area Number |
07671377
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 昌八 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20196827)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00090027)
|
Keywords | 肝虚血 / 再灌流障害 / Kupffer細胞 / TNF-α / GdCl_3 |
Research Abstract |
肝虚血・再灌流障害において、虚血時間の長さが再灌流後のKupffer細胞機能にどのように影響するかをKupffer細胞機能を抑制したラットを用いて検討した。 【方法】雄性SDラットを用いて、門脈-頚静脈間にシャントを作成後30、60及び90分の全肝虚血を行った。肝虚血導入前にKupffer細胞機能を抑制するためGdCl_3(7mg/kg)を虚血前2日間投与したG群と生食水を投与したN群に肝虚血・再灌流後1、3、6時間目に血漿GPT及びTNF-α、門脈血中エンドトキシン値、貧食指数(PI)の測定及び組織学的検討を行った。【結果】N群:(1)再灌流後1時間での門脈血中エンドトキシン値は虚血時間の長いものほど高い傾向であったが、虚血前値と有意差はなかった。(2)血漿GPTは虚血時間の長さに依存して上昇し、90分虚血後6時間目には7,892±1,817IU/Lに達した。(3)虚血時間が90分に達すると、再灌流6時間目まで虚血前値、30及び60分虚血群に比較し有意に低下した。(4)血漿TNF-αは虚血が60分を越えると著しく増加し、90分虚血群では再灌流1時間目に142±82pg/mlに達した。(5)肝虚血時間が90分に達すると、再灌流6時間目には肝組織中への著明な好中球の集積を伴うnecrosisが中間帯から中心帯にかけて認められた。G群:(1)正常肝のPIは0.013±0.003であり、GdCl_3投与により0.007±0.001に有意に低下した。虚血前値との比較では、再灌流後のPIに有意な変化はなかった。(2)90分虚血において、N群に比し再灌流後の血漿GPT及びTNF-αの上昇は有意に抑制され、組織学的にも再灌流6時間での肝壊死の程度はN群に比較し軽減された。【結論】正常肝に対する全肝虚血では、門脈血中エンドトキシン値と関係なく、Kupffer細胞機能のうち、賦活化によるTNF-α産生は60分虚血・再灌流後から増加し、90分虚血では再灌流後に著明な貧食能の低下を伴った。Kupffer細胞機能を一時的に抑制することは、肝虚血前より貧食能の低下をきたすが、再灌流後のTNF-α産生を抑制し、肝虚血・再灌流障害を軽減させる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Serizawa A: "Involvement of platelet-activating factor in cytokine production and neutrophil activation after hepatic ischemia-reperfusion." Hepatology. 23・6. 1656-1663 (1996)
-
[Publications] Suzuki S: "Role of Kupffer cells and the spleen in modulation of endotoxin-induced liver injury after partial hepatectomy." Hepatology. 24・1. 219-225 (1996)