1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子により誘導される胆道癌浸潤機構の解析
Project/Area Number |
07671400
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
志村 英生 九州大学, 医学部, 講師 (80178996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水元 一博 九州大学, 医学部, 助手 (90253418)
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Keywords | 胆嚢癌細胞株 / 肝細胞増殖因子 / 浸潤 / タンパク分解酵素 |
Research Abstract |
【目的】癌の浸潤には各種のproteaseが関与していることが注目されている。そこで本年度は胆嚢癌細胞のHGFによる浸潤誘導が浸潤と深く関与するmatrix metalloproteinase (MMP-2、MMP-9)、serine proteinase (plasminogen activator (PA))活性の増強を伴うかを検討した。【材料と方法】胆嚢癌転移リンパ節由来のGB-dlとGB-h3、胆嚢癌原発巣由来GB-d2、胆嚢癌の癌性腹水由来FU-GBC-1の4株を用い比較した。癌細胞を無血清培地でHGF20mg/mlを添加し、さらに48時間培養した。培養上清を回収し、zymographyでprotease活性を検討した。1)MMP活性の検出(Gelatin zymography) : 50倍濃縮した一定細胞数由来の培養上清をgelatinを含有するSDS-PAGA電気泳動した。泳動後ゲルを2.5% Triton X-100に1時間以上浸け、Tris-HCl/CaCl_2液中でを37℃20時間反応させ、CBBで染色してMMPによって分解されたgelatinのバンドを検出した。2)PA活性の検出(Fibrin zymography) :培養上清をSDS-PAGEで分離し、ゲルを2.5% Trition X-100に1時間以上浸けた後、plasminogenを含有するdetection ge1に重ね、PA活性を検出した。【結果】GB-d1、GB-h3、GB-d2では,細胞のMMP-9,MMP-2,u-PA活性が癌性腹水由来のFU-GBC-1細胞より圧倒的に高かった。GB-h3は72kDaのMMP-2の活性がHGFにより濃度依存的に増強された。FU-GBC-1以外の3株はすべてHGFによりu-PAの活性が増強された。【考察】今回zymographyではFU-GBC-1を除く3株はMMP-9,MMP-2,u-PA活性を強く産生し、なかでも転移リンパ節由来GB-h3株は72kDaのMMP-2の活性がHGFにより濃度依存性に刺激された。また3株はすべてHGFによりu-PAの活性が増強された。各細胞のHGFによる浸潤誘導作用の結果に対応しており、ヒト胆嚢癌の浸潤転移過程中、間質の胆嚢線維芽細胞が分泌したHGFにより癌細胞は過量のproteaseを分泌し,周囲組織の分解を通じて浸潤に重要な役割を演じている事が示唆された。
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[Publications] Hideo Shimura: "Induchon of Invasive Growth in a Gallbladder Cancer Cell Line by Hepatocyte Growth Factor in vitro" Jpn.J.Cancer Res.86. 662-669 (1995)
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[Publications] 青木康明、志村英生: "胆嚢癌組織浸潤モデルにおけるヒト胆嚢線維芽細胞由来HGFの意義" 消化器癌の発生と進展. 7. 255-258 (1995)