1996 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子および細胞同期調節蛋白異常の検出による胃・大腸癌悪性度評価への応用
Project/Area Number |
07671410
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
白石 憲男 大分医科大学, 医学部, 助手 (20271132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 洋祐 大分医科大学, 医学部, 講師 (90221043)
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Keywords | 消化器癌 / 悪性度 / c-erbB-2 / DCC / CDK inhibitor(p16) / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究では胃・大腸癌切除材料を用い分子生物学的手法によりc-erbB-2,DCC,CDKinhibitor(p16)の遺伝子または蛋白発現の量的異常および機能的異常と臨床的悪性度との関連について検討した。 (癌遺伝子関連) 1.原発性大腸癌78例の切除標本を用い,免疫染色にてc-erbB-2蛋白の発現の有無と悪性度との関連性について検討した.その結果,発現陽性率は約64%で腫瘍径,深達度,予後との間に相関を認めた。他の病理学的因子とは相関を認めなかった(論文発表済み)。 2.c-erbB-2蛋白はチロシンキナーゼとして知られている。そこで本年度は特に大腸癌切除標本を用いc-erbB-2蛋白のチロシンリン酸化の程度と病理学的因子の関連について検討を進めた。その結果,c-erbB-2蛋白のリン酸化の程度と肝転移にとの間に強い相関を示した(論文準備中)。近年,c-erbB-2蛋白が細胞間接着分子カドヘリンの裏打ち蛋白であるβ-カテニンと結合していることが明らかにされ,その蛋白が大腸癌の浸潤・転移に関連している可能性が考えられている。来年度はさらにc-erbB-2蛋白のリン酸化の役割について詳細に検討していきたいと考えている。 (癌抑制遺伝子) 1.胃癌87例の切除標本を用い,PCR法にてDCC遺伝子,特に対立遺伝子のヘトロ接合性の欠失と(18qLOH)と悪性度との関連性について検討した。その結果,34.1%に欠損を認め,深達度,予後との間に相関を認めた(論文準備中)。 消化器癌56例の切除標本を用いPCR法にてCDKinhibitor(p16)の遺伝子欠失(9p21 LOH)の有無と悪性度との関連性について検討した.その結果,37%に欠失を認め,予後との間に相関を認めた。 以上,胃・大腸癌切除材料を用い分子生物学的手法によりc-erbB-2,DCC,CDKinhibitor(p16)の遺伝子または蛋白発現の量的・機能的異常と悪性度との関連性について検討してきた。来年度は,研究最終年度として研究成果のまとめとc-erbB-2蛋白のリン酸化に関し詳細に検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)