1997 Fiscal Year Annual Research Report
膜乳化法により作製した多重エマルションのドラッグデリバリーシステムへの応用
Project/Area Number |
07671411
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
東 秀史 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (80145432)
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Keywords | 膜乳化法 / 二重乳化DDS / IPSO / epirubicin / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
研究1[目的]Epirubicin水溶液とIPSOの混合物を均一な細孔を有する多孔質ガラス膜に通すことで得られた二重乳化型製剤(W/O/W emulsion)を肝動脈内に投与したのちの末梢静脈血中のepirubicin濃度を測定し、従来の投与法における血中濃度と比較した.[方法]肝細胞症例21例を対象に膜乳化法により作製した粒子径40micronのIPSO粒子内にepirubicin 15mg(A群,n=8)あるいは60mg(B群,n=13)を包含したW/O/W emulsionを肝動脈内に投与.投与後1,8,および24時間後の末梢静脈血を採取し、高速液体クロマトグラフィーによりepirubicinおよびその代謝産物であるepirubicinolを測定した.[結果]A群ではepirubicin,epirubicinol共に検出されなかった.B群の1,8,および24時間後の静脈血中epirubicin濃度は24.2,5.6,および3.0ng/mlであり、epirubicinol濃度はそれぞれ0.9,0.4,及び1.1ng/mlであった.[結論]Epirubicin包含W/O/W emulsionを肝動脈内に投与した場合、末梢静脈血中のepirubicin濃度は一般的に使用されている、conventional emulsionと比べて約3分の1の低い濃度であった.われわれのW/O/W emulsionではIPSO粒子の中にepirubicinが確実に包含されているためこのような結果が得られたものと思われ、抗腫瘍効果の向上や、抗癌剤の副作用の軽減に寄与する製剤と考える. 研究II[目的]Epirubicin水溶液とIPSOを使用して作製した二重乳化型製剤(W/O/W emulsion)の臨床応用をおこなった.[対象症例]肝細胞癌術後の再発例20例.男女比16:4.平均年齢は62.4歳.手術から再発までの期間は5-60ヶ月(平均19.6ヶ月).臨床病期別ではI期16例、II期4例.腫瘍径は全て30mm以下.多発例は17例(85%),4個以上の多発例10例.Stage別ではStage I and II 7例、Stage III 4例、StageIV-A 9例.門脈腫瘍塞栓除去後に100個近くの結節が再発した症例が1例含まれる.[治療方法]直径40または70μmのIPSO油滴中にepirubicin60-90mgを封入したW/O/W emulsionを膜乳化法により作成し肝動脈内に注入した.治療は総計52回、1例あたり平均2.7回施行.塞栓物質は2例に各1回使用.動注療法以外の治療は行わなかった.[結果]全例3日前後の発熱あるも.重篤な副作用はなかった.再発時からの観察期間は12-63ヶ月.8例が死亡.全症例(n=20)の初回手術時起算3,5,7年生存率(Kaplan-Meier法)は60%,60%,51%,再発時起算3,4年生存率は57%,43%.4固以上再発例(n=10)とStageIV-A症例(n=9)の再発時起算3年生存率はそれぞれ51%,50%.[結論]術後再発肝細胞癌症例に対するW/O/W emulsionを用いたone shot動注療法では,PEITやTAEによる治療が困難な4固以上の多発例でも良好な効果が得られた.とくに,従来の治療法では延命不可能と思われる残肝全体に10-100個の腫瘍結節が発現した症例でも短期間の治療をくり返すことで日常生活に支障のない状態を数年以上にわたって維持できた.
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