1995 Fiscal Year Annual Research Report
小腸虚血・再灌流障害における好中球の関与に関する検討-核磁気共鳴法によるエネルギー代謝の面よりの検討-
Project/Area Number |
07671415
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
桑原 義之 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90225326)
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Keywords | 小腸 / 虚血、再灌流障害 / 好中球 / MRS(magnetic resonance spectroscopy) |
Research Abstract |
【目的】好中球数の増減が小腸虚血・再灌流障害にどの様な影響を及ぼすかを、エネルギー代謝の変動、および組織より検討した。【方法】6週齢Wistar系雄性ラットを用い上腸間膜動脈を30分間閉塞した後、150分再灌流した。実験群を、I:対照群。II:好中球増加群(実験開始 6時間前にG・CSF 100μg/kgを腹腔内に注入)。III:好中球減少群(実験開始4日前にcyclophosphamide100mg/kgを腹腔内に注入)。IV:好中球エラスターゼ阻害剤投与群(ono-5046 30mg/kgを再灌流時に静注)の4群に分けin vivoにて核磁気共鳴装置を用い、^<31>P-MRS法にてβ-ATP、Pi、PHの変化を経時的に測定した。また、再灌流150分後の小腸を、ヘマトキシリン、エオジン染色にて組織学的に検討した。【結果】1、実験開始時の好中球数は対照群、1224±600/mm^3に対して、好中球増加群は、6492±1069/mm^3、好中球減少群は20±23/mm^3であった。2、各群ともβ-ATP、PHは虚血後低下し、再灌流後上昇した。また、Piは虚血後上昇し再灌流後低下した。3、好中球増加群では虚血時のpHの低下がより著明で、再灌流後のβ-ATP、Pi、PHの回復は有意に不良であった。4、好中球減少群では虚血時のエネルギー代謝の変動は対照群と差を認めなかったが、再灌流後のβ-ATPの回復は有意に良好であった。5、好中球エラスターゼ阻害剤投与群では、再灌流後のβ-ATPの回復は有意に良好であった。6、組織では、好中球増加群は絨毛の浮腫に加え、絨毛上皮の脱落を認めたが、好中球減少群においては、絨毛上皮の脱落は認めず、絨毛浮腫の程度も軽減された。7、以上より、好中球増加群でその障害が増悪し、好中球減少群でその障害が抑制されたことから、好中球が小腸虚血再灌流障害において重要な増悪因子として作用している可能性が示唆された。
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