1995 Fiscal Year Annual Research Report
急性肝不全に対する補助肝移植の研究-異種肝を用いた代用肝開発-
Project/Area Number |
07671418
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
笠原 小五郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (30049035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00245044)
宮田 道夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048976)
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Keywords | 補助肝移植 / 急性肝不全 / 動物モデル / 門脈-静脈シャント / 異種移植 |
Research Abstract |
我々は脾臓の皮下自家受動によるP-Sシャントモデル(Bengmark, 1970年)をレシピエントに用いて急性肝不全に対する補助肝移植の研究を行ってきた。現在まで明らかにしたラットP-Sシャトモデルの子細を述べ,本モデルを用いて現在我々の行っている肝移植研究の現状を報告する。[実験材料及び方法]1.P-Sシャントモデル作成とその評価:体重200〜300gの近交系LEWラット(RT11)を使用した。エーテル麻酔下に左肋骨弓下切開で開腹し,脾臓を創外に出し左腹部皮下に固着した。4週間後横切開にて開腹し,門脈を脾静脈合流部より肝門で結紮した。これを肝外門脈閉塞モデルとして体重及び肝重量,さらに肝機能の変化を観察した。肝の変化は組織学的検討を付け加えた。また門脈造影を施行し,その血行動態を見た。2.P-Sシャントモデルの肝移植への応用:同所性肝移植(OLT)は既報の如くカフを用いて行った(Kobayashi, Microsurgery 14:541, 1993)。異所性肝移植(ALT)はドナー肝の門脈、下大静脈をレシピエントの左腎動脈・静脈に各々カフを用いて吻合した。総胆管及び上大静脈は結紮した。[結果及び考察]1.門脈結紮後腸管鬱血なく生存したP-Sラットは72%(13/18)であった。生存したラットは一過性の体重減少を来したが,3週間後にはコントロールラット(開腹のみ)と同等になった。門脈結紮後一過性に肝障害を来したが,経時的に開腹した。肝重量は徐々に減少し3週間後にはコントロールラットに比し70%減少した。門脈遮断時の造影では脾臓を介して側副血行路を経て体循環系に流入する像が確認出来た。肝の組織学的検索では中心静脈周囲の肝細胞を中心に著名な細胞萎縮を認めた。これらの実験結果は今後肝萎縮メカニズムの解明に利用できるものと考えられる。2.0LTにこのシャントラットを使用するとレシピエントの無肝期の延長が可能で初心者によい実験系であると思われた。またALT時にP-Sラットを使用し急性肝不全に対する補助肝移植の研究に利用し,引き続き研究を進めている。
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Research Products
(1 results)