1997 Fiscal Year Annual Research Report
Short Chain Fatty Acidの消化器外科への応用
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07671427
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
羽生 信義 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30189592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 勝則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70246429)
古川 良幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80209171)
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Keywords | SCFA / 炎症性大腸炎 / 消化管運動 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
Short Chain Fatty Acids(以下SCFA)は多糖類の大腸における常在バクテリアの発酵によって生成される物質であり主にacetate,butyrate,propionateで構成されており現在、多岐の分野においてその効用が注目されている。そして特に今回はSCFAの消化器外科への応用として以下の研究成果を得た。1;ラット大腸を用いた離断,再吻合モデルにおいて吻合部はSCFA投与群で破裂圧が平均380mmHgに対し非投与群では190mmHgでありSCFA投与は腸管吻合部に対して強化作用を有していると考えられた。2;犬を用いた実験拡大リンパ節郭清モデルを作成し消化器癌における拡大リンパ節郭清術後の消化管運動機能不全に対する原因とその治療について検討した。結果、術後消化管運動機能不全の原因として外来神経の関与が推測され、その治療としてSCFAを腸管内へ投与したが明らかな改善効果は認められなかった。3;犬を用いた実験大腸炎モデルに対する大腸内腔へのSCFA投与の影響について検討した。結果、SCFA投与群は非投与群に比して傷害された大腸粘膜に対して速やかな修復を促した。1の結果と併せてSCFAの大腸粘膜修復作用は粘膜に対する直接的効果の可能性が示唆された。一方で大腸粘膜傷害時の消化管運動も記録し、症状として見られる粘血頻便,テネスムスなどの所見は消化管運動記録の面から粘膜傷害による大腸運動の変化が原因であることが判明した。 今回の研究成果から消化器外科分野においてSCFAは消化管運動に対する効用より粘膜修復作用に対する効用が顕著にみられ、今後の臨床応用へ期待が持てるものと考えられた。
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