1995 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるゲノム不安定性の簡易測定法の確立と臨床診断への応用
Project/Area Number |
07671430
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 延 東邦大学, 医学部, 助手 (00120254)
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Keywords | ゲノム不安定性 / ミスマッチリペア-遺伝子 / microsatellite instability / hMSH2抗体 / hMLH1抗体 |
Research Abstract |
(microsatellite instabilityの検討) 現在までに無作為に選んだ40例の大腸癌患者(散発性37例、家族性2例、不明1例)におけるmicrosatellite instabilityの検討を行い、散髪例の約37%に1箇所以上で、約16%に2箇所以上でinstabilityを認めた。臨床病理学検討を行ったところ、1箇所以上でinstabilityを認めた症例では明らかな特徴はなかったが、2箇所以上のmicrosatellite markerでinstabilityを認めた症例では右側大腸癌に多く、低分化型が多い傾向を示した。予後に関しては、現在までの臨床所見から、必ずしも良好とは予測できないが、観察期間が短く、その経緯を注意深く見守る必要性がある。 (抗体の作製と評価) 現在のところ、hMSH2及びhMLH1の一部領域を、それぞれ大腸菌発現ベクターに組み込み、組み換えタンパクの発現及び精製に成功している。hMSH2についてはすでにポリクローナル抗体を作製し、その特異性をウエスタンブロット、免疫組織化学染色法で確認を行っている。抗体の作製については、ほぼ予定通りであり、上記40症例を対象とした抗体による検討を行っている。また、抗原作製中、hMLH1では発現ベクターに正しく組み込んだ大腸菌すべてでタンパク発現が見られたのに対し、hMSH2では約30%と低く、hMSH2がプラスミドの安定性や大腸菌増殖に影響を与えている可能性が示唆された。今後、ヒト細胞に対する組み換えhMSH2タンパクの影響について検討することがhMSH2タンパク細胞内機能を解明する上で必要になるかもしれない。 (原因遺伝子の検索) 原因遺伝子を核酸レベルで明らかにする予定であったが、HNPCCの原因遺伝子として、少なくとも4遺伝子を対象として考えねばならず、hotspotが見い出されていない現在、時間と労力を考慮して、原因遺伝子の検索は行っていない。抗体による検索を先行させ、異常が見い出された症例について遺伝子異常の検討を行うこととした。
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