1996 Fiscal Year Annual Research Report
移植心における冠動脈狭窄病変の発現機序の解明に関する研究
Project/Area Number |
07671469
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 長司郎 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (00144569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安宅 啓二 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20252760)
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Keywords | 移植後冠動脈硬硬化症 / エンドセリン / エンドセリンレセプター / エンドセリンレセプター拮抗薬 / BOSENTAN |
Research Abstract |
昨年度に確立したラット腹部異所性心移植モデルを使用し、移植心の慢性期におけるエンドセリンの関与を、その発現を確認するとともにそのレセプター拮抗薬を投与することで検討した。 (方法)Brown-Norway(BN)(RTn)をドナーに、Lewis(LEW)(RTl)ラットをレシピエントとし腹部異所性心移植モデルを作製し以下の3群に分類した。I群では手術とサイクロスポリンの影響を検討するためにLEWからLEWへ、II群、III群ではBNからLEWラットへ移植し、III群ではさらに非選択的エンドセリンレセプター拮抗薬Bosentanを20mg/kg/dayの割合で経口投与した。3群ともにサイクロスポリンを5mg/kg、週3回投与した。すべてのラットは術後120日後に犠死せしめ、エンドセリン-1の血中濃度を測定した。またエンドセリンの発現部位を検討するために3群ともに自己心、移植心、腎臓、肺、肝臓に対しエンドセリンの免疫染色を施行した。それぞれの冠動脈硬化病変の程度を%lumenn(=内腔面積/内膜面積+増殖内膜面積+内腔面積)で評価した。 (結果)エンドセリン-1の血中濃度はI群:4.15±0.83、II群:6.99±0.91pg/mlと有意にII群で高かった。またI、II群ともに肺、腎での発現を認めたが、II群のみに平滑筋、増殖内膜でのエンドセリンの強い発現を認めた。また%lumennはI群:36.2±3.0、II群:18.1±3.0%と有意に低値を示したがこれはBosentanを投与したIII群で33.1±2.8%と有意に上昇した。 (結論)移植後の冠動脈硬化症の進展に冠動脈平滑筋、増殖内膜で発現したエンドセリンによるレセプターA/B刺激が関与することが判明した。Bosentanの経口投与は冠動脈病変を有意に抑制し臨床的有用性を示唆した。
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