1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671474
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 信義 岡山大学, 医学部, 教授 (90108150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青江 基 岡山大学, 医学部・付属病院, 助手 (80260660)
山下 素弘 岡山大学, 医学部・付属病院, 助手 (40284103)
伊達 洋至 岡山大学, 医学部・付属病院, 助手 (60252962)
安藤 陽夫 岡山大学, 医学部・付属病院, 講師 (70222776)
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Keywords | 肺移植 / 心臓死 |
Research Abstract |
末期呼吸不全患者に対する外科的治療としての肺移植が欧米では一般医療になりつつあるが未だ日本では脳死問題とも関連して臨床での脳死患者からの肺移植は再開されていない。平成8年度は、前年度までの実験に引続き、雑種成犬左肺移植モデルを用いて、循環停止後死体から摘出した肺の臨床肺移植への使用の可能性、また死体肺を用いた移植において移植後の肺機能を良好に保つためにはどのような工夫が有用かを研究した。 【実験】平成7年度に施行したウロキナーゼを使用した実験結果にもとづき、血栓融解作用としては、ウロキナーゼよりも強力なTPA(Tissue-tipe plasmminogen activator)を前年度の実験同様に移植直前に使用することの効果を同様の実験系で行い評価した。これは、循環停止後肺内微小血管内に形成され、その後の冷保存中に増大悪化してくると考えられる血管内血栓に対して、移植直前に血栓融解剤を肺動脈より注入することによって血栓を融解し、再潅流時の血管内皮障害を軽減させ、移植後の肺機能を良好に保つことを目的としている。実験群ではTPA5γを移植再潅流直前より90分間かけてレシピエント肺動脈より移植肺血管に注入すると、移植後の肺機能は、TPAを使用しないコントロール群に比べて著明に改善された。これはウロキナーゼを凌ぐものであった。また、血栓融解作用の副作用として危惧された、手術後の出血量では有意な差はなく十分臨床応用可能であった。以上により、心臓停止後ドナーより摘出した肺を使った、いわゆる死体肺移植においては移植前後にTPAを用いることによって移植後の肺機能を良好に保つことが出来、死体肺移植は臨床応用十分可能であると考えられた。
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