1995 Fiscal Year Annual Research Report
低心拍出症に対する低体温管理:IABPとの併用の有効性
Project/Area Number |
07671482
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森山 由紀則 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80221638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩村 弘志 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手
増田 宏 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手
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Keywords | 開心術 / 術後心不全 / IABP / 低体温 |
Research Abstract |
背景と目的:近年、手術手技や体外循環管理の進歩とともに高齢者や重篤な術前合併症をともなった症例にも開心術の適応が拡げられつつある。その結果、術後の低心拍出状態(LOS)への対処に難渋する症例も決して稀ではない。現在IABPは開心術後の機械的循環補助手段として最も広く用いられているが、その補助能力には限界がある。さらに強力な補助手段として、遠心ポンプや補助心臓が臨床応用されているが、感染症や手術手技上の問題に加え経済的なことも絡み手軽には使用できない。そこで、このようなIABPによる循環補助限界症例に低体温を用い、酸素消費量を抑制した呼吸、循環管理を行いその有効性を検討した。対象:平成7年12月までに平均年齢61歳の男女各4例に本法を用いた。術式は冠動脈バイパス3例、弁置換4例、左室破裂に対する修復1例である。体外循環及び大動脈遮断時間は各々平均251、130分であった。低体温は術後にIABP、カテコールアミン(10μ/kg/min以上)及び左房圧18mmHg以上の容量負荷を必要とするも尚、心係数2.0L/min/m^2以下に留まる重症LOS症例に導入した。結果:低体温は血液温を指標に最低32-34℃を維持した。酸素消費量は低体温導入前後で231から189ml O_2/minと有意に抑制し得、平均78時間の低体温管理の後全例IABPより離脱し得た。内3例を感染症に起因した多臓器不全で失ったが、残る5例は完全に社会復帰している。結語:従来のIABP管理のみでは救命不能と思われた症例に低体温管理を併用し有効性100%、救命率63%の成績を得た。本法は経済性と安全性に優れ、臨床応用が容易であり、適応基準が確率されれば臨床への貢献度は極めて大きいと考える。今後更に対象をPCPS症例へ拡げ検討を加える。
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