1997 Fiscal Year Annual Research Report
低心拍出症に対する低体温管理:IABPとの併用の有効性
Project/Area Number |
07671482
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森山 由紀則 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (80221638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井畔 能文 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20222854)
増田 宏 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10253866)
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Keywords | 低体温管理 / 開心術後心不全 / IABP / 酸素消費 |
Research Abstract |
【目的】IABPは重症心不全の循環補助手段として広く用いられるが、補助能力に限界がある。そこで、このような症例に酸素消費量を減少させる低体温管理を積極的に導入し、その有効性を検討した。【対象と方法】開心術後IABP補助下に低体温を導入した9例を対象とした。年齢は52〜68歳(平成62.0±5.6歳)、男女比は5対4であった。術式は冠動脈バイパス(CABG)3例、大動脈弁置換術(AVR)2例、CABG+僧帽弁(MVR)後の左室破裂に対する修復術と再弁置換術1例、CABG+MVR1例、AVR+MVR+三尖弁弁輪形成術1例、急性A型大動脈解離に対する上行弓部置換術1例であった。低体温の導入基準は、カテコラミンの大量投与とIABP(1:1)の補助にも拘らず、左房圧18mmHg以上で心係数2.0L/min/m^2以下が数時間続くものとした。低体温は表面冷却で血液温32〜35℃に維持した。後負荷の増大を防ぐため血管拡張剤を使用し、またshiveringを防止するため筋弛緩薬と鎮静薬を適宜使用した。【結果】IABP駆動時間は60〜216(平均134)時間、低体温管理時間は36〜159(平均94)時間で、最低体温は32.0〜34.5(平均33.4)℃であった。心拍数と平均動脈圧は低体温導入前、中および離脱時で変化なかった。心係数も低体温導入後に徐々に改善し、低体温離脱時には有意に改善した(前1.70±0.32、中2.04±0.42、離脱時3.11±0.48L/min/m^2)。左房圧は低体温導入後に低下傾向を示し、低体温離脱時は有意に改善した(前18.4±2.1、中15.4±3.3、離脱時14.8±4.3mmHg)。酸素消費量は低体温導入前に比し導入後で有意に減少し、低体温離脱により低体温導入前のレベルまで増加した。(前218±33、中177±28、離脱時239±43mlO_2/min)。低体温管理中重篤な不整脈は認めず、全例心機能は改善し、低体温およびIABPから離脱した。9例中6例が生存し社会復帰している。【結論】表面冷却による軽度低体温管理は安全かつ容易で、循環動態に悪影響を与えず臓器酸素負債を軽減しうる。本法はIABPによる循環補助限界症例でVAS使用前に用い得る一方策と考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yukinori Moriyama: "Successful Application of Hypothermia Combined with Intra-AorticBalloon Pump Support to Low-Cardiac-Output State After Open Heart Surgery" Angiology. 47・6. 595-599 (1996)
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[Publications] 四元剛一: "術後重症心不全の低体温管理" 日本低体温研究会会誌. 17・1. 48-55 (1997)
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[Publications] 井畔能文: "最新の胸部外科 1997" 日本胸部外科学会卒後教育委員会, 4 (1997)