1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型モノクローナル抗体を用いた肺癌の診断法とミサイル療法の開発
Project/Area Number |
07671488
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川村 雅文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70169770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 光智 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276272)
成毛 聖夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30255476)
|
Keywords | ヒト型モノクローナル抗体 / 肺癌 |
Research Abstract |
われわれは癌の治療や診断のために人体への投与を最終目標としてヒト扁平上皮癌に対するヒト型モノクローナル抗体を作成した。平成7年度は、この抗体をFITCで標識化して、その特異性を検討した。すなわち肺癌切除症例20例を用いて凍結切片を作成し、蛍光抗体法(直接法)で染色した結果、扁平上皮癌および小細胞癌に特異的な反応がみられた。また切除標本を細切し、エタノール固定した細胞浮遊液を用いても同様の結果が得られた。 また喀痰細胞診陽性患者の痰を用いてその染色を検討した。すなわち、細胞診陽性患者、炎症性肺疾患患者、健常者、計20名の痰を採取し(メタノール、チモール含有液を保存液として3日間蓄痰)、本抗体と反応させた後、フローサイトメーターで分析した。この結果、炎症性肺疾患患者の痰とは反応はみられず、扁平上皮癌、小細胞癌の直接塗沫法で陽性であった痰の患者では反応がみられた。この事から本抗体を用いた喀痰細胞診の自動化の可能性が示された。しかし以上の実験では、本抗体の染色性が低いことが問題となった。すなわち、反応陽性とした腫瘍にあっても、染色が陽性に出る部分は腫瘍の一部であり、その染色も十分とはいまだ言い難い。これには抗体の特異性を更に高めることと、その産生量を増やすことが必要であった。また既に確立した細胞株の抗体産生が不良となってきたこともあって、平成8年度は、SCIDマウスを用いて再度抗体産生株の樹立を行ったが、現在までのところ上記の実験を満足する抗体を産生する株が樹立できずにいる。
|