1995 Fiscal Year Annual Research Report
顔面痙攣モデルラットにおける顔面神経核の形態学的、組織化学的検討
Project/Area Number |
07671496
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中井 昴 山形大学, 医学部, 教授 (60018356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 亮 山形大学, 医学部, 助手 (90225285)
斉藤 伸二郎 山形大学, 医学部, 講師 (60153805)
嘉山 孝正 山形大学, 医学部, 助教授 (50142972)
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Keywords | hemifacial spasm / abnormal muscie response / facina nerve / vascular compression |
Research Abstract |
今年度の研究として、モデル作成手技の確立と標本の摘出作成および光学顕微鏡による観察を目標とした。 実験動物として雌成ラットを用いた。十分な麻酔後、実験用顕微鏡下に末梢顔面神経本幹を露出しchromic sutureを巻いて3週間放置後、同部を再露出し処置部の下を走行する側頭動脈をその下に細かく刻んだテフロン綿を敷くことによって処置部顔面神経に圧迫接触させた。これらの処置により神経に電気生理学的障害を来した場合、そのラットは実験から外した。 その後、薬1週間隔で異常筋電位の出現の有無を検査した。これは、人の顔面痙攣例での方法と同様に、処置側顔面神経の側頭枝を経皮的に電気刺激し頤口輪筋から誘発筋電位を記録するものである。正常ラットでは出現しない潜時約5msec筋電位は、人の顔面痙攣例における潜時約10msecに出現する異常筋電位に相当するものと考えられた。これらのデータは、筋電計で打ち出した波形をパーソナルコンピュータに取り込んで保存するようにした。 上記のような顔面痙攣モデル以外に、顔面神経にchromic sutureを巻いただけで血管の接触を行わなかった群と、chromic sutureによる前処置をせずに血管を接触させただけの群を作成した。同じように異常筋電位の出現の有無を確かめた。どちらか一方の処置のみでは異常筋電位が出現しないことがわかった。 末梢顔面神経は髄鞘に被われた有髄線維であり外的刺激にある程度の抵抗性があるが、人頭蓋内の顔面神経における中枢性髄鞘から末梢性髄鞘への移行部(脳幹への移行部)は外的刺激により感受性が高いと考えられている。一方、chromic sutureによる処置、その吸収過程に生じる肉芽腫によって有髄線維の脱髄や神経鞘及び軸索の変性が起こることが知られている。すなわち、chromic sutureによる処置が有髄末梢神経を外的刺激に感受性の高い状態に変化させうるものと考えられる。これを、本実験の処置部顔面神経の髄鞘染色などによる光学顕微鏡での観察で明らかにしていく予定である。
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