1995 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腺腫の腫瘍化機序および浸潤性に関する基礎的研究-エストロゲン誘発下垂体腫瘍の分子生物学的検討-
Project/Area Number |
07671497
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伴野 悠士 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70110335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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Keywords | 下垂体腺腫 / エストロゲン受容体 / 腫瘍化機序 / ラット |
Research Abstract |
【方法】8週令雌Fisherラット54匹にジプロピオン酸エストラジオール(EDP)を隔週に5mg皮下注し、下垂体腺腫を生じせしめた。EDP投与前および投与後4,6,8,10,12週でラットをそれぞれ9匹ずつ屠殺し、下垂体を摘出。摘出した下垂体は直ちにサイトゾル調整を行い、蛋白量を測定。このサイトゾルに対してGreeneらの方法に準じ、ERに対するモノクローナル抗体を用いた免疫学的測定法EIAをER-EIA kit(ABBOT社)を用いて行い、検体のER量と蛋白濃度から単位蛋白あたりのER量を求めた。屠殺時に採血し、血中プロラクチン値(PRL)も計測した。 【結果】ラット下垂体重量は投与前平均12.9mgであったが、経時時に増大し、12週後の平均194.3mgまで増大した。組織学的には6週で83%が過形成を示し、10週では44%、12週では78%が腫瘍化していた。投与中止1年後の組織でも腫瘍であり、真の腫瘍であることは確認された。PRLは前、4、10、12週でそれぞれ66.6±25.8,276.6±113.2,1565±500,2913±483ng/mlと著明に上昇していた。ER-EIAの結果では、投与前平均±標準偏差値で、24.0±4.4fmol/mg'protであったものが、4週では39.3±11.8(p<.05)と増加、その後10週では33.8±11.0、12週では24.9±6.8fmol/mg'prot(p<.05vs4w)と減少を示した。すなわち過形成に伴いERは増加し、さらに腫瘍化するに従い再び減少する。エストロゲンは下垂体の過形成を惹起し、腫瘍化の誘因となるが、腫瘍化した後は、重要ではないと考えられた。現在、さらにPCR法により、ER及びprotooncogeneの計測を行いつつある。
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