1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671497
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伴野 悠士 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70110335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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Keywords | 下垂体腫瘍 / エストロゲン / 腫瘍化過程 / PCR / 浸潤性 |
Research Abstract |
1.下垂体腺腫浸潤性とKi-67およびp27の発現に関する検討 下垂体腫瘍はその1/3は浸潤性を示し、これが根治を妨げる最大の要因となっている。この浸潤性を決定する要因は現在不明である。浸潤性下垂体腺腫57例、非浸潤性65例、計123例に関してcell proliferationの指標であるKi-67 labeling index(MIB-1 index)と、細胞周期抑制蛋白であるp27の発現率をそれぞれのモノクローナル抗体による免疫染色により検討した。 結果:全下垂体腺腫のMIB-1 indexは平均1.4±0.15%であったが、浸潤性と非浸潤性腺腫におけるMIB-1 indexはそれぞれ2.17±0.24%と0.73±0.14%で、浸潤性腺腫の方が有意に高値を示した。p27発現率には有意差は認めなかった。増殖能の高い腫瘍が増殖能と共通の因子を持っているのか、増殖能すなわち浸潤能なのかは未だ明らかでないが、Ki-67が浸潤性の指標にはなりうると考えられた。 2.誘発下垂体腫瘍における分子生物学的検討 エストロゲン(E2)誘発下垂体腫瘍の腫瘍化機転に関し未知のDNAの比較を可能にする手法であるPCR-differential display法(PCR-DD)を用いて、E2誘発下垂体腫瘍の各週におけるDNAの変化を検討した。。方法:ラットに、隔週5mgのE2を皮下注射することにより下垂体腫瘍を誘発した。対照群および、E2投与6、8、12、10、9、14、17週群各検体において、下垂体を採取し凍結保存。この組織に対しPCR-DDを行った。 結果:過形成期と腫瘍化期の検体にPCR-DDを行ったが、腫瘍化後に増幅フラグメントの消失を見る部分が認められた。この結果はエストロゲンにより誘発される下垂体腺腫形成の過程でDNAレベルでのmutationが起きていることを示唆した。今後DNAの同定を行う。
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