1996 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮の平滑筋細胞障害におけるアポトーシスの関与とサイトカインの効果の研究
Project/Area Number |
07671501
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
金 彪 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (90231290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 昭雄 東京大学, 医学部, 講師 (50231858)
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Keywords | 脳血管攣縮 / クモ膜下出血 / 平滑筋細胞障害 / アポトーシス / カルシウム / ATP / cyclic GMP |
Research Abstract |
我々のこれまでの脳血管攣縮の病態の研究の成果は、脳動脈平滑筋のcyclic GMPの産生低下(Circ Res 70:248-256,1992)、高エネルギー燐酸の含量低下(J Neurosurg 76:991-996,1992)、細胞内カルシウム濃度の制御障害(J Cereb Blood Flow Met 16:334-341,1996)に続いて細胞膜の非特異的透過性の亢進の存在を示した。これらの結果は一貫して、平滑筋の細胞障害が進み、弛緩収縮の制御が外れている事を示すものである。組織学的な検討を行うと、平滑筋細胞の密度の減少、核と細胞質の凝縮は認められたものの、光学顕微鏡観察、電子顕微鏡観察のどちらによってもnecrosisは認められなかった。過去の文献においても、中膜の細胞壊死の報告が多いものの一方でこれが見られなかったとする論文も複数発表されている。われわれの一連のこれまでの研究成果は平滑筋細胞の障害とviabilityの低下を示すものであるために、壊死とは異なった細胞死、細胞障害の様式、すなわちアポトーシスの過程が起こっているかを検討した。犬のクモ膜下出血モデルを用いて、出血一週間後に血管撮影を行い攣縮が起こっている事を確認した脳動脈の平滑筋細胞を材料とした。血管平滑筋のDNAを抽出し、アガローズ電気泳動により解析したDNAの断片化すなわちゲル上のラダーパターンが見られるかを観察した。一部の標本で、陽性所見がえられたものの、ほとんどでは陰性であり、少なくともこの方法では、アポトーシスを証明する事はできなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] P.Kim,Y.Yoshimoto,M.Iino et al: "Impaind Calcium Regulation of Smooth Muscle During Chronic Vasospasm Following Subarachnoid Hemorrhage" J.Cerebral Blood Flow and Metabolism. 16. 334-341 (1996)