1996 Fiscal Year Annual Research Report
悪性glioma細胞におけるTGF-βレセプターの解析
Project/Area Number |
07671507
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
長沼 博文 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90189142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 秀一郎 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10117244)
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Keywords | 悪性グリオーマ / transforming growth factor-β / transforming growth factor-β receptor / p27 |
Research Abstract |
平成8年度研究実績 1.平成7年度に作成したTGF-β type II receptor cDNA、及びTGF-β type I receptor cDNAを用いて、悪性glioma細胞株でのTGF-β type I,及びtype II receptorのmRNAの発現をnorthern blotting法で検索した。 その結果、用いた8種類の悪性glioma細胞株全てがTGF-β type I,及びtype II receptorのmRNAの発現していた。平成7年度に行ったcross-linking法での結果では、2種類のglioma細胞株でTGF-β receptorの細胞表面への発現が非常に低かったが、今回の検索ではこれらの細胞もmRNAの発現が十分に認められた。 2.これまでの結果からTGF-β type I及びtype II receptorが存在することが明らかとなったが、TGF-β receptorからのsignalが伝達されるかどうかを検討するために、細胞周期の抑制蛋白であるp27蛋白の発現の変化をflow cytometerを用いて検索した。p27蛋白の発現はTGF-βによって調節されることが判明している。 その結果、8種類の悪性glioma細胞株全てがTGF-β処理に反応して、p27蛋白の発現量が減少した。これは、TGF-β receptorは機能していることを示す結果と考えられる。 上記の如く、悪性glioma細胞株ではTGF-β type I及びtype II receptor mRNAが存在し、又各receptor蛋白も細胞表面にあり、そのreceptorは少なくともp27蛋白の発現に影響を与えるsignalを伝達する機能があることが判明した。従って、悪性glioma細胞がTGF-βによる増殖抑制を受けない原因は、TGF-β receptor自身にある可能性は低いと考えられる。今後は、TGF-βが影響を与えている細胞周期抑制蛋白の発現について検討を加えたい。
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