1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮に伴い活性化される遺伝子の分子生物学的研究
Project/Area Number |
07671510
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
和賀 志郎 三重大学, 医学部, 教授 (50026861)
|
Keywords | 脳血管攣縮 / くも膜下出血 / 遺伝子発現 / PCR / ディファレンシャルディスプレイ法 |
Research Abstract |
脳血管攣縮はくも膜下出血における最も重篤な合併症の一つであり、その発生機序を解明することが脳神経外科領域での緊急課題であるにもかかわらず、その成因についてはほとんど不明なのが現状である。脳血管攣縮の発生機序を明らかにするためには、脳血管の構成細胞内でのシグナル伝達に伴う遺伝子発現の制御とその異常を明らかにすることが極めて重要であるが、脳血管攣縮発症の早期に生じる脳血管の遺伝子レベルでの変化についてはほとんど報告されていない。そこで、平成7年度より、分子生物学的手法を用い,脳血管攣縮に伴い活性化される遺伝子の検索を開始した。すなわち、くも膜下出血動物モデルの脳血管のmRNAを経時的に比較検討し、脳血管攣縮に伴い発現する遺伝子を明らかにするために、ディファレンシャルディスプレイ法を用いた検討を行った。ディファレンシャルディスプレイ法は、PCR法を用い二つの異なる状態の細胞あるいは組織間の遺伝子発現の変動を迅速に比較検討する方法であり、一方にのみ発現する遺伝子を単離することが可能な極めて有力な方法である。今年度の実験では、くも膜下出血動物モデルを作成し、その脳血管より全RNAを抽出、逆転写酵素でcDNAを合成、10塩基のランダムプライマーとoligo dTプライマーを用いPCRを行い、アクリルアミドゲル上のバンドとして比較検討した。その結果、遺伝子発現が脳血管の状態により変化することが明らかになった。現時点では、脳血管攣縮に伴い発現量の変化する遺伝子群の本体は明らかになっておらず、現在、どのような遺伝子群であるかを検討している。
|