1995 Fiscal Year Annual Research Report
外傷性脳損傷における興奮性アミノ酸の関与と低体温の及ぼす影響
Project/Area Number |
07671524
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤澤 博亮 山口大学, 医学部, 助手 (50238565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 治英 山口大学, 医学部, 教授 (90019927)
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 興奮性アミノ酸 / グルタミン酸 / 低体温 / ラット |
Research Abstract |
頭部外傷において細胞外液中の興奮性アミノ酸濃度の上昇が認められ、これが神経細胞障害の機序において重要な役割を果たすとされている。しかしながら頭部外傷特に脳挫傷においえる細胞障害の機序については未知の部分が多い。また近年、種々の脳損傷に対する低体温療法が話題となっているが、頭部外傷における低体温療法の脳保護効果の機序についても未知の部分が多い。本研究の目的は、脳挫傷における細胞外液中興奮性アミノ酸と脳血流の変化、さらに低体温の両者への影響を明らかにすることである。本年度の研究目的についてはほぼ達成された。成長雄ラットを用い、重量落下法により脳挫傷を作成した。脳血流は脳温正常群、低体温群ともに低下が見られたが、いわゆる虚血閾値までは減少せず、外傷の程度は比較的軽微なものといえた。細胞外液中のアミノ酸濃度も両群とも急激な上昇が見られた。脳温正常群における変動のパターンは過去の報告と類似している。即ち、外傷直後からグルタミン酸、アスパラギン酸などの興奮性アミノ酸濃度は上昇し、速やかに外傷前値に復した。興味深いことに、細胞外液中アミノ酸濃度は、低体温群では正常脳温群よりむしろ高い上昇が観察された。この結果から、脳挫傷における細胞外液中アミノ酸の上昇は脳虚血によるものとは機序が異なるということが明らかとなり、また脳挫傷における低体温療法の効果は、シナプス後細胞内で進行する細胞障害の過程の抑制が主体であると推定された。本年度の結果を踏まえて次年度の研究計画を進める予定である。
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