1997 Fiscal Year Annual Research Report
外傷性脳損傷における興奮性アミノ酸の関与と低体温の及ぼす影響
Project/Area Number |
07671524
|
Research Institution | Yamaguchi Univeristy |
Principal Investigator |
藤澤 博亮 山口大学, 医学部, 助手 (50238565)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 治英 山口大学, 医学部, 教授 (90019927)
|
Keywords | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 興奮性アミノ酸 / グルタミン酸 / 低体温 / 脳血流 / 微小透析法 / 低酸素 |
Research Abstract |
当部外傷症例では、受傷後の誤嚥や呼吸不全による低酸素状態が二次的増悪因子となり、低酸素血症の有無は患者の予後を大きく左右することが知られている。脳低酸素状態における興奮性アミノ酸の変動は大きな意味を持つため、本年度は低酸素負荷を単独で加えた場合と、脳挫傷に低酸素負荷を加えた場合の脳細胞外液中の興奮性アミノ酸濃度変化と軽度低体温の影響について検討した。ラットを用い、低酸素負荷は吸入酸素濃度を7%として60分間誘導し、動脈血酸素分圧を30-40mHgとした。脳血流はレーザードップラー法により測定した。アミノ酸は微小透析法により測定した。実験は正常体温群と低体温群の2群で行った。また、重量落下法による脳挫傷を作成後低酸素負荷を加えた実験も行った。平均動脈血圧は、低酸素負荷により低下し負荷終了後速やかに元のレベルに復帰した。両群ともに頭頂葉皮質血流は、低酸素負荷開始直後より約20%増加し負荷終了後は元のレベルに復した。低酸素負荷実験では、正常体温群において細胞外液中の興奮性アミノ酸濃度は、低酸素負荷開始から60-80分で濃度のピークを迎え、その後負荷前のレベルに復帰した。低体温はこのような興奮性アミノ酸濃度上昇を完全に抑制した。挫傷後の低酸素負荷の場合、正常体温群において興奮性アミノ酸濃度は外傷後上昇がみられたが、低体温群の方が濃度は高かった。正常体温群では、外傷後の低酸素負荷で興奮性アミノ酸濃度の著名な上昇が認められた。一方、低体温群では低酸素負荷中のアミノ酸濃度の上昇は完全に抑えられた。本年度の結果から、脳挫傷後の低酸素負荷によるアミノ酸濃度上昇に対しても低体温は著名な抑制効果を有し、臨床の場でも頭部外傷にしばしば併発する低酸素状態によって発生しうる二次的脳損傷を低体温が興奮性アミノ酸の抑制により予防することが期待された。
|
Research Products
(1 results)