1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07671544
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高木 清 帝京大学, 医学部, 講師 (40197059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 比登志 帝京大学, 医学部, 講師 (00147050)
岡 秀宗 帝京大学, 医学部, 講師 (20010382)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
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Keywords | クモ膜下出血 / 体温 / 予後 / retrospectively study / WFNS分類 |
Research Abstract |
クモ膜下出血の急性期における体温が予後にどのような影響を与えるかをretrospectiveに検討中である。focal cerebral ischemiaにおいて、入院時の体温が高い群で予後が不良であったと報告されており、また別の研究グループからは、入院後の急性期に高体温を経験した群で予後が悪かったと指摘している。従って、retrospective studyにおいては対症症例の入院時および発症後急性期(2週間以内)の体温と予後の関係を、入院時のgrade(WFNS分類)に従って検討している。現在まだ統計学的な検討までには至っていないが、傾向としては、内頸動脈や中大脳動脈の閉塞よる局所脳虚血障害において報告されている結果から予測されるものとは異なり、入院時の体温が著しく低い症例は極めて予後が悪い。入院時体温が低い症例は重傷クモ膜下出血に多かった。重傷クモ膜下出血出血では病初期に著しい頭蓋内圧亢進をきたし、このために間脳の体温維持中枢までが障害されるため、搬入時には外気にまで体温が低下してしまう可能性がある。夏に搬入された重傷クモ膜下出血症例では体温が低下せず、冬に搬入された患者の体温が低いこと、軽傷クモ膜下出血例では季節に関係なくほぼ正常な体温であることが示されれば、重傷クモ膜下出血例で体温調節中枢が著しく障害されていることの間接的な証明になるであろう。この結果が統計学的に裏付けられれば、入院時体温は予後判定の重要な決定要因になりうる。 本年2月に体温維持装置を新たに購入した。同時期に重症脳梗塞が入院しており、この症例に対し、家族の承認を得て体温管理を試みた。体温は34から35度の範囲で維持できた。10日後に麻酔から覚醒させたところ、これまでの経験から植物状態に移行する可能性が高い考えられた本症例は覚醒し、頷きが見られ、この治療法が有益である可能性が示唆された。 今後はクモ膜下出血症例の体温管理を行い、死亡例が発生した場合には病理学的、免疫組織学的検討を加え、クモ膜下出血症例の急性期体温管理が予後に与える影響を総合的に検討していく。
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