1996 Fiscal Year Annual Research Report
変形性股関節症の発症・増悪因子-脊椎後弯症との関連から
Project/Area Number |
07671561
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Research Institution | ASAHIKAWA MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
後藤 英司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50142807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲尾 茂則 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70250561)
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Keywords | 変形性股関節症 / 脱臼 / 脊椎後弯症 / 骨盤傾斜角 / 骨頭臼蓋被覆度 / 筋電図 / CE角 |
Research Abstract |
高齢化社会の到来とともに変形性股関節症は増加の傾向にあり、その病態の解明は重要課題のひとつである。本邦においては従来その原因は小児期の脱臼や亜脱臼によるものがほとんどであったが、最近老齢者においてはレントゲン上原因の不明な関節症が増加している。当科においては、1989年よりその原因として老化に伴う脊椎の変形特に後弯症に伴う骨盤の後傾により、骨頭被覆の減少しその結果関節症へと進行するという仮説をたて研究を行ってきた。本研究の目的は股関節のレントゲン像を3次元的に解析し、姿勢と骨頭被覆の関係を解析し、姿勢の変化が股関節に与える影響を明らかにすることである。 対象 60才以上で腰椎後弯を呈するが正常股関節の症例20症例(正常群)を対照とし、腰椎後弯を呈しかつ臼蓋形成不全を認めない変形性股関節症症例8例(関節症群)を対象とした。 検討方法 これらの2群の立位骨盤側面像から骨盤傾斜角度を測定した。次に立位骨盤正面像から臼蓋形成不全の指標としてCE角を計測し、さらに小西が作成したcomputer program ACXを用い水平面での臼蓋骨頭被覆度を計算し比較検討した。 結果 1)骨盤傾斜角 正常群では18.5【plus-minus】7.5度、関節症群では22.5【plus-minus】6.3度であった。これらは当科において計測した正常姿勢群の傾斜角より有意に後傾し 2)CE角 正常股関節群では29.5【plus-minus】7.5度、関節症群では28.1【plus-minus】12.3度であり差を認めな 3)骨頭被覆度 正常股関節群では75.1【plus-minus】6.3%、関節症群では71.3【plus-minus】10.5%であるが前方1/2に限って検討すると正常股関節群では67.3【plus-minus】8.2%、関節症群では60.1【plus-minus】11.5%であ 考察 変形性股関節症の原因として多数の因子が考えられるが、本研究から姿勢の変化による骨頭被覆の減少がその一因となっていることが示唆された。またこれまでの我々の筋電図学的研究から後弯症例においては下肢筋、特に股関節周囲に存在する腸腰筋、四頭筋、大腿二頭筋の活動性の増大していることが判明している。従って、腰椎後弯症例においては骨頭被覆の減少による荷重面積の減少に加え、筋活動の増大に伴う関節合力の増加が変形性関節症の原因と考えられる。
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[Publications] 稲尾茂則 他: "セメント使用型人工寛骨臼ソケットにおける弛みについて" 整形外科. 47. 273-278 (1996)
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[Publications] 稲尾茂則 他: "改良セメント手技を用いて行ったcemented metal-backed'socketの5年以上経過例の治療成績" 臨床整形外科. 31. 607-614 (1996)
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[Publications] 稲尾茂則 他: "成人脱臼股の治療方針" 関節外科. 15. 37-41 (1996)
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[Publications] 稲尾茂則 他: "ペルテス病に対するChiari骨盤骨切り術" 北海道整形災害外科雑誌. 39. 15-20 (1996)
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[Publications] 寺西正 他: "高齢者の大腿骨転子部骨折に対するACE captured hip screwの治療成績" 臨床整形外科. 31. 1211-1218 (1996)