1995 Fiscal Year Annual Research Report
腱板断裂患者における上腕二頭筋の働きに関する筋電図学的研究
Project/Area Number |
07671565
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
井樋 栄二 秋田大学, 医学部, 講師 (80193465)
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Keywords | 肩関節 / 筋電図 / 上腕二頭筋 / 腱板断裂 / 肩不安定症 |
Research Abstract |
上腕二頭筋は肘の屈筋として知られるが、肩関節に対する作用はほとんど知られていない。我々のこれまでの基礎研究の結果、上腕二頭筋は骨頭を求心位に保つ作用を有することが分かった。これらの結果を実際の臨床症例において証明する目的で、腱板断裂肩と健常肩における上腕二頭筋の筋活動を比較した。腱板完全断裂患者22名を対象とし、健側の肩および健常成人男子5名の両肩をコントロールした。断裂の診断は、関節造影またはMRIにより腱板の完全断裂を確認することによった。被検者にScapular plane上での挙上動作を任意の速度でおこない、三角筋前部線維、中部線維、後部線維、棘下筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、僧帽筋上部線維、大胸筋下部線維の8筋から表面電極を用いて筋活動電位を記録した。上肢挙上動作は最初の計画では6種類を行う予定であったが、実際の計測でこれらの動作による差はほとんど認められなかった。そこで被験者の負担を減らし、検査時間を短縮する目的で、挙上動作は前腕回内位、肘伸展位の1種類にしぼった。また負荷は1kgのみを予定していたが、上腕二頭筋の筋活動が亢進している症例では、負荷に比例して活動が増すことが分かり、負荷量を1kg,2kg,3kgの3種類に変更した。挙上動作時の筋電信号から各筋の積分電位を計測し、最大収縮時の積分電位に対する割合を求めた。その結果、健常成人男子においては挙上動作時の上腕二頭筋の筋活動は極めて低いのに対して、腱板完全断裂患者においては、上腕二頭筋の筋活動が亢進している症例と対象者同様亢進していない症例が存在することが分かった。筋活動が亢進している症例においては上肢への負荷の増加に比例して筋活動が増加することも分かった。このことから上腕二頭筋が腱板断裂肩における挙上動作中に動作筋または制動筋として活動する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)